応天の門 4 (BUNCH COMICS)

著者 :
  • 新潮社 (2015年10月9日発売)
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本棚登録 : 907
感想 : 44
4

呪いなどないというのが、だから気の所為ではなく
誰か人間の仕業だと答えを出すのが道真らしい。
文句を言いながらも業平に付きあい、いざ事が起こると
宣来子に車の奥へ入るように言い守ってくれるところも良い。
結局身から出た錆オチでちょっと笑ってしまった。

力について考え始めた道真を塩焼きに招く業平。
クラゲに刺された時の対処を知らなくても、人が痛がって倒れていたら何かあって介抱しているのかと思わないだろうか。
本当に民など畜生以下でなんの興味も無いのだろう。
正直道真の啖呵は少しすっきりした。

物の怪の行列の証拠を取ろうと水を撒くのが流石。
話が切り替わったようでいて、結局これも『力』の話である。
相手が物の怪ではなく人間だから安全かと言えば
逆に却って恐ろしいということもある。

泣いてしまう白梅も、泣かれたら頼みを聞いてしまう道真も可愛らしい。
笛の音は彼岸からの迎えではなく生き抜く為の人の営みの音。
宮に言った言葉が自分に跳ね返ってきて不貞寝してしまうのも可愛かった。
業平が頭を下げてきたことに対して物分りの良い大人相手に自分が拗ねているのが恥ずかしくなって
もういい、と仲直りできて良かった。
薬湯が効いたのは確かに思い込みかもしれないが
タツの笑顔が見られてよかった。
泥を知らぬ者に政を任せてはいけない。
どうにもならぬ時に心を決めさせるのは神仏よりも己の後悔や思い込み。
辛酸を舐めてきた大人たちならではの言葉だ。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: コミック
感想投稿日 : 2024年2月24日
読了日 : 2023年11月11日
本棚登録日 : 2023年11月11日

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