大奥 13 (ジェッツコミックス)

  • 白泉社 (2016年4月28日発売)
4.32
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本棚登録 : 1163
感想 : 71
4

家斉が女を信用出来なくなる気持ちは分かる。
だが御台様を嘘吐きにさせたのは自身が不甲斐無かったからなのに。
代々仕えてきた阿部家の歴史も知らず
身代わりとは大袈裟な、と言ってしまうところも残念だ。
祥子様の賢さとの対比とは言え。

伊兵衛さんの息子さんの描写は嬉しいが
その弟子の新之助の境遇があまりに不憫。
その分、正弘との出会いがほっとする。
疲れた時に頭の良い人と話したくなる正弘の気持ち、
非常によく分かる。

遠山の金さんがちょっと出てくるのも気が効いていて良い。
徳川斉昭のキャラ設定は個人的にイメージ通りに不愉快で豪快な人だった。

祥子様も、父は勿論母親にも恵まれていなくて気の毒過ぎる。
母が守ってくれない上、嫉妬して毒を盛ってくるなど救いようがない。
結婚して家を出るのを希望にしていたのにそれを断たれたとき
どれほど絶望したことか。
家慶が来るという先触れがあったら正弘を呼ぶことしか対処が出来ないものだろうか。口惜しい。

史実の家慶と家定のエピソードからするとだいぶ掛け離れた人物像かと思うが
非常に面白い。
広大院様はお年を召されてもお考えのしっかりされた方のままであることは嬉しいのだが
家慶がすぐ身を引かないところが歯痒い。
それを受けて家定が、カステラを作りながら世間話のついでのように
月に4度あった嫌なことが2度になった、それで十分だ
と正弘に告げるところがあまりにも悲しかった。
流石に正弘でなくとも、これはどうあっても早急になんとかせねばと思うだろう。
両親には恵まれなかったが、家定公がせめて家臣には恵まれていて本当に良かった。
火事をきっかけにしての広大院様の采配も見事だし
史実である火事が見事に織り込まれている。
確かに歴史に残っていることが真実とは限らないのだ。
広大院に言われたにも関わらず
家慶の執着、心底気持ちが悪い。

家慶相手に鯉口が切れる瀧山には惚れ惚れしたし
ここぞというときの流水紋の裃が恰好良かった。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: コミック
感想投稿日 : 2023年1月15日
読了日 : 2023年1月15日
本棚登録日 : 2023年1月15日

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