沖縄戦・ある母の記録: 戦争は親も子も夫も奪ってしまった

  • 高文研 (1995年2月1日発売)
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感想 : 1
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友人の薦めで読んでみた。
今まで、沖縄戦のことは、なんとなくしか理解していなかったが、この本を読んで、輪郭がはっきりしてきたような気がした。

安里さん一家が空襲や艦砲射撃から逃れるために沖縄の各地を逃げ回った様子が克明に書かれている。
兵隊から守られることもなく、家族を一人一人失っていく。埋葬する余裕もなく、遺体は放置したままその場から逃げさっていくのだ。生き延びようとしながらも、「どうか一撃で私たちを殺してください。」とも願うアンビバレンツな状態に陥っていく。子は親を見放し、親は子を見放す地獄のような様相の中でも、安里さんは自分の子どもを守るが、やがて腕の中で冷たくなってしまう。
この本では、具体的な自決せよと言う軍の命令は書かれていなかったが、最後に逃げ込んだ洞窟の中では、子供が泣いたら殺すと脅されたと書いている。その洞窟にガソリンが撒かれる直前に安里さんは救出された。

集団自決に関して、もっと知りたいと思った。他の書物をもう少し読んでみよう。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 沖縄関連
感想投稿日 : 2010年1月20日
読了日 : 2009年12月30日
本棚登録日 : 2009年12月30日

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