ガニメデの優しい巨人 (創元SF文庫) (創元推理文庫 663-2)

  • 東京創元社 (1981年7月31日発売)
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感想 : 276
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「星を継ぐもの」シリーズ第2作、The Gentle Giants of Ganymede。

前作が、いわば考古学的な取り組みから地球や太陽系の来歴を解き明かす科学推理小説だったとすれば、この作品はSFの面目躍如といおうか、そのものズバリ異星人の登場から始まる。

かつて太陽系の5番目にあった惑星ミネルヴァで進化した人類・通称ガニメアンが、2500万年という時を隔てて21世紀の地球上に舞い降りる。今回、彼らとのやりとりを通じて明らかにされるのは、ほかならぬ地球人類の来歴である。

異星人とのファースト・コンタクトをともかくとすれば、科学的推理の課程と見事な結末は前作と同様、存分に堪能できる。

また物語の進行と合わせて作者が描きたかったのは、人類がかくも好戦的で、内輪で争ったり出し抜いたりし続けていることと(登場する「優しい」異星人たちは、そういう価値観を理解しない)、それは克服されなくてはいけない、という現代にも通じるテーマだろう。

そうしたユートピアチックな未来をオレは信じられないし、科学がこの先リニアに発展し続ける、あるいは地球上で人類が進化の最先端にある、という基本的立場(欧米的?)には現在から見ると違和感がなくもないが、総じて満足かつ爽快な読後感はさすがと言うしかない。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: SF
感想投稿日 : 2019年6月17日
読了日 : 2010年10月25日
本棚登録日 : 2010年10月25日

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