思いはいのり、言葉はつばさ

著者 :
  • アリス館 (2019年7月25日発売)
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感想 : 23
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朝日小学生新聞「中学入試で取り上げられた本」より。(ちなみに、桜蔭中ほか)

少し前に読んだ『彼岸花の咲く島』で、女性だけが学べる「女語」という言葉が登場した。
こちらは「女書」(ニュウシュ)という女性だけに伝わる文字の話。

理不尽な風習や、古くからのしきたりの中で、自由を奪われてきた女性たち。
「文字があなたの(纏足をした)足の代わりだよ」「思いをつづることで、心がきっと自由になる」p82

誰もが文字を学べ、読み書くことができる今、
指先でつぶやくだけで世界中とつながれる今、
自らの思いを託せる「文字」の持つ不思議な力を、改めて感じた。
文字は、人を生かしもすれば殺しもする。

「言葉を大事にするんだよ」p153
「辛いときは、書きましょう
苦しいときは、歌いましょう」p205

「人は初めて書く文字では、思いやりや優しい気持ちを言葉にする」p251あとがきより



「女書」と検索してみた。
装丁に描かれた刺繍のような美しい右上がりの文字。この文字が、女性たちの悲しみや喜びに寄り添ってきたんだな。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 小説
感想投稿日 : 2021年8月22日
読了日 : 2021年8月22日
本棚登録日 : 2021年8月22日

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