美しく、小気味よい文章。こういう文章を読むと、気分もリズミカルになる。
JRの切符の下地の話とか、香港でのデザイン審査の話とかも面白かったけれど、一番印象的なのは、ウイスキーの瓶のデザインの話。デザイナーとしての理想をいうために、製造プロセス上の人々からの反発とか消極性を乗り越えていく内容。
また、ロスの高名なデザイナーとの調整に当たって、ビッグネームに変に気負って多くを"つめて"しまった結果の失敗、という話も示唆深い。
「率直に本人に接するべきだった」「そしてもう少し気楽に、描いてもらいたい絵について語り合う時間を持てば良かった」と後悔。この「まず会う」という発想・視点は、仕事のやり方にもブレークスルーを与えうるのではないか、と思った。
とにかく読んでいると、はっとさせられる瞬間が多かった。
そんな原研哉、「ランニングハイ」と題して、日課として走ることの喜び、レースに出ることの楽しさを語っている。原に言わせれば、物をつくるのに必要な能力とは、
「一に体力、二に体力、三、四は自由に埋めてよろしいが、五は負けず嫌いな性格。才能とはこの五つを、別の角度から見た呼称にすぎない」という。
読書状況:読み終わった
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カテゴリ:
デザイン全般・グラフィック
- 感想投稿日 : 2014年12月8日
- 読了日 : 2009年10月
- 本棚登録日 : 2014年12月3日
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