横浜での著書石川の個展「New Map」と、ワタリウムでの奈良美智さんとの展覧会に触発されて、前から気になっていた本書を手に取った。
登山記録、かつ元々はブログ向けの文章であるので、きわめて淡々とした記録。だけれど、ところどころに、環境の過酷さを窺えたり、周囲の人々への敬意や感謝が込められていたり、そして何より感情の起伏が読み取れたりするのが面白い。
『全ての装備を知恵に置き換えること』も好きだったが、そちらは言わば"論理の石川"、本書は"感情の石川"。本書の方が飾らない感じ。
旅は非日常ではない、と言い放つ石川がカッコいい。
また淡々とした中でも「なぜ峰に登るのか」と自問し、それに答えている終盤の記述にもグッと来た。
新たな世界に、そして新たな自分自身に出会うため。
あるいは「意識的に生きる」環境を好むため、といったところか。
最小限という装備を写真入りで紹介するカラーページも魅力的。
旅に誘う一冊。
読書状況:読み終わった
公開設定:公開
カテゴリ:
随筆・紀行文・小説
- 感想投稿日 : 2015年2月16日
- 読了日 : 2015年2月
- 本棚登録日 : 2015年2月2日
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