流刑の神々・精霊物語 (岩波文庫 赤 418-6)

  • 岩波書店 (1980年2月18日発売)
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感想 : 18

 現代の「流刑の神々」・「精霊」はどこにいるのか、と思いながら読みました。社会・文化・政治・経済等を乱される・脅かされるのを防ぐために、古来からその時代に合わない・合わせない、適合しない・されない人々に異端者の烙印を押しているのだと思います。文学ではこういった人々に救済の光を当てています。時間の洗礼を受けても残る文学作品は、いつの時代の人々に読まれても共感できる普遍性があり、それを押し潰す力を逆にくるみこむ耐久性を持っていると思います。
 中心ではなく周辺にいる人々が共感できる普遍性と、周辺にいる人々を圧迫する力をくるみこむ耐久性を持つ文学作品。これらが文学は女性と子どもが読むモノとされる一つの理由の様な気がします。両者は共に社会システムにあまり参加できないと思います。作品中に出てきた「こびと」という精霊が、人間たちに嫌な事をされたら逃げていく事、普段は身を隠して生活している事、嫌な事をされない限り、人間達に幸福をもたらす事は、「こびと」を女性・子どもに置き換えてもある程度適用できそうだと思いました。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 未設定
感想投稿日 : 2017年2月7日
読了日 : 2017年2月7日
本棚登録日 : 2017年2月7日

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