存在に対する回答に挑戦した意欲作。
私たちが「生きる」ということはどういうことなのか、
演劇という設定下で、「生きる=演じる」というメタファーを通じて、
人間の存在の虚無感と流転感を表現している。
例えば、孤独からの脱却かわ湧き上がる他者との合一欲求は、
(俗っぽいことばで言うとセックスや婚姻などは)、
しかしながら、(実はものすごく当たり前だが)自分という存在が自分以外では成立しない以上、
行為として果たすことはできても、文字通りの合一を果たすことなどできない。
果たすことができないと知りながら、欲求を持ち続ける。
その曖昧な営みや居場所が生きるということなのだ、と私は解釈した。
おしゃれ感漂うパッケージデザインやタイトルとは裏腹に、相当に難解だと思う。
1冊の哲学書に匹敵する問いの深さがある。
読書状況:読み終わった
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カテゴリ:
ヒューマン
- 感想投稿日 : 2010年9月4日
- 読了日 : 2010年9月4日
- 本棚登録日 : 2010年9月4日
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