実践に裏打ちされた説得力のある論。著者は、軽度の抑うつや不安、不定愁訴の背後に総睡眠時間の不足や睡眠-覚醒リズムの乱れがあり、それを正すことで主訴が軽減されるという考えをもっている。それ自体は慧眼である。
ただし「内因性の睡眠-覚醒障害」という患者(例えば、時計遺伝子のタイプによりリズムが乱れやすいなど…)もいて、そのような人たちにも著者が同じ生活指導をしているのだとしたら、いささか性急で、時に乱暴であるかもしれない。著作の言葉は一見すると極めて正論なので、この点は注意すべきである。
同業者(精神科医・心理士)への批判や警句はもっともであり、「その通りでございます」としか言いようがない。また著作の面接の覚書はとても勉強になり、「メンタルよりフィジカルを」「症状より主題を」といった提言は示唆に富む。
読書状況:読み終わった
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カテゴリ:
精神医学
- 感想投稿日 : 2015年12月19日
- 読了日 : 2015年7月22日
- 本棚登録日 : 2015年4月13日
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