開いた口を、塞ぐ暇もないくらい超速の展開。そのなかに、“青春”がぜんぶある。
こんな高校生いるわきゃない、と思うんだけれど、読み進めるうちに不思議と、それが馴染んでくる。もちろんやっているのは荒唐無稽と笑われても仕方ないことばかりなんだけれど、根っこのところ、行動原理とでも云うべきところが単純で、明快で、思春期で。だからなんとなく、わかってしまう。高校生のときって、その気になればなんでも出来たよね、って話、なのだ。
『妖精作戦』から始まるシリーズ4部作は、スピンオフ的な2部も含め、この“なんでも出来る感”に貫かれている。
もちろんなんでも出来るわけなんて、ないし。届かなかったり、追い付けなかったりする。だからこそ跳ね返ってくる切なさも大きくて、でも、それを、誰も後悔しない。
誰も、こうしなきゃよかった、なんて思ってない。
誰も、出会わなきゃよかった、なんて思ってない。
技巧的にどうだとか、そんなんじゃなく、☆5を付けたくなりました。刊行と同い年、という贔屓目もあり。この速度に追い付きたい、というのも、あり。
読書状況:読み終わった
公開設定:公開
カテゴリ:
SF
- 感想投稿日 : 2014年6月10日
- 読了日 : 2014年6月8日
- 本棚登録日 : 2014年6月8日
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