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死の世界への渇望が溢れ出ていて、美しい文体なので更に怖さと不安がじんわり広がる。現実味があるような非現実的な構造で「異相」の不思議な世界。
「私は七年前に死んでいるが、生き残っている友人の西寺とときどき怖い話をする」『地獄』、「新平が奇麗な着物だねと珍しいことを言ってくれた梅の小紋縮緬」が見たいと思う『冬の曲』、「あの方の美しい幻が浮かんで胸苦しくなると、私は鏡の前に座って自分の美しさをさがした」女学生の『朝雲』、大黒帽をかぶった耳のうしろに鉛筆を一本挿している女車掌のユキ子さんの持っていた男女のけしからん写真が気になる『死体紹介人』、玉虫色ってなんだろうとおもった『蛇』、九州の弓浦市を探してみた『弓浦市』、「今日もまためずらしい人に会ったよ」という父の言動にふりまわされる『めずらしい人』、「たまゆらに昨日の夕見しものを今日の朝は恋ふべきものか たまゆらに露も涙もとどまらず亡き人恋ふる宿の秋風」『たまゆら』、「新年に際し、自分と同じ星の人々の興奮を祈るは人情である」『ニ黒』、睡眠薬服用時の怪談のような体験の『眠り薬』
どの作品も短編なのに長編のような濃ゆさ。
読書状況:読み終わった
公開設定:公開
カテゴリ:
川端康成
- 感想投稿日 : 2023年5月12日
- 読了日 : 2023年5月12日
- 本棚登録日 : 2023年5月12日
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コメント 5件
111108さんのコメント
2023/05/13
☆ベルガモット☆さんのコメント
2023/05/14
111108さんのコメント
2023/05/14
☆ベルガモット☆さんのコメント
2023/05/14
111108さんのコメント
2023/05/15