川端康成異相短篇集 (中公文庫 か 30-7)

  • 中央公論新社 (2022年6月22日発売)
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本棚登録 : 193
感想 : 20

111108さんのレビューで出会うことができました。ありがとうございます!
死の世界への渇望が溢れ出ていて、美しい文体なので更に怖さと不安がじんわり広がる。現実味があるような非現実的な構造で「異相」の不思議な世界。
「私は七年前に死んでいるが、生き残っている友人の西寺とときどき怖い話をする」『地獄』、「新平が奇麗な着物だねと珍しいことを言ってくれた梅の小紋縮緬」が見たいと思う『冬の曲』、「あの方の美しい幻が浮かんで胸苦しくなると、私は鏡の前に座って自分の美しさをさがした」女学生の『朝雲』、大黒帽をかぶった耳のうしろに鉛筆を一本挿している女車掌のユキ子さんの持っていた男女のけしからん写真が気になる『死体紹介人』、玉虫色ってなんだろうとおもった『蛇』、九州の弓浦市を探してみた『弓浦市』、「今日もまためずらしい人に会ったよ」という父の言動にふりまわされる『めずらしい人』、「たまゆらに昨日の夕見しものを今日の朝は恋ふべきものか たまゆらに露も涙もとどまらず亡き人恋ふる宿の秋風」『たまゆら』、「新年に際し、自分と同じ星の人々の興奮を祈るは人情である」『ニ黒』、睡眠薬服用時の怪談のような体験の『眠り薬』
どの作品も短編なのに長編のような濃ゆさ。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 川端康成
感想投稿日 : 2023年5月12日
読了日 : 2023年5月12日
本棚登録日 : 2023年5月12日

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コメント 5件

111108さんのコメント
2023/05/13

☆ベルガモット☆さん、こんにちは。

川端康成、私の中では意外に変な趣味というイメージがあるのですが(谷崎潤一郎だと逆に変な趣味を自認してそうなイメージ)どうでしたか?まだつかめきれてないので、今後も追っていきたい作家です。確かに美しい文章が妖しさを際立たせてますね。

☆ベルガモット☆さんのコメント
2023/05/14

111108さん、おはようございます。コメントありがとうございます!

若い頃は全然読んでいなかったので、還暦を迎える前に昭和を代表する作家さんを読もうと思ってます。川端康成と谷崎潤一郎は、111108さんの言葉通り「今後も追っていきたい作家」です。
川端康成の中の圧倒されるような孤独感がひしひしと伝わって、それが逆に心地よさになっています。なるほど、「意外に変な趣味」。どの本か忘れましたが解説に、相手が困惑するほど女性を凝視する癖があったらしいです。美しい日本語の勉強になります。

111108さんのコメント
2023/05/14

☆ベルガモット☆さん、お返事ありがとうございます!

ベルガモットさん「圧倒的な孤独感」を川端康成に感じるのですね。「意外に変な趣味」としか捉えられなかった私恥ずかしい。次読む物ではもうちょっと何か感じられたらいいなと思ってます。女性を凝視してしまう癖、興味を持つと文字通り目が離せなくなってしまったのでしょうか。
還暦を迎えるまでに‥わぁリミット近いな汗。でも食わず嫌いせずに追っていきたいです♪

☆ベルガモット☆さんのコメント
2023/05/14

111108さん、こちらこそコメントありがとうございます!

少し前まで川端氏は優等生で裕福な家庭だと勝手に思っていました。両親、祖父母、姉と死別し中学は寄宿舎に入ったということを少し前の著書で知ったり、療養生活での東山魁夷との交流などなんとなく心細さを感じとったのかもしれません。

お恥ずかしながら文豪作品をあまり読んでいませんので、こっそり登録したり、食わず嫌いは…するかもです。

ここでお伝えするのもなんだかですが、ダヴィンチ掲載祝宴の時は本当におつきあいありがとうございました♪

111108さんのコメント
2023/05/15

☆ベルガモット☆さん

文豪、私もあまり読んでなかったので大人になって楽しめてよかったです♪食わず嫌い‥私もしちゃうかも。

ダヴィンチのやりとりは、こちらこそとても楽しかったですよ〜また掲載されたら祝宴呼んでくださいね♪

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