前巻でダイイング・メッセージが残されるという奇妙な展開に面食らったものだが、ちゃんと「じゃらくらするなよ べらぼうめ」の言葉に意味があり、はては『人肉質入裁判』のエピソードまでが機能するとは。
いや出てきたからには機能して当然ではあるんだけど、たとえば五代目尾上菊五郎の『風船乗評判高楼』が平気で見せ場に使われる(!)衒学趣味の炸裂するこのマンガ、何が伏線で何が蘊蓄かわからないので油断がならねえのだ。
徹底された計算と、読者を心地よく酔わせる圧倒的な絵の説得力。これだけのマンガがたった3巻で終わっているのはいかにも惜しい。
たしかにキレイな終わり方だったけど、まだ風呂敷には畳み残しがあるし第一、九鬼銃造の胸おどる活躍をもっと見たいのだ。もちろん暮緒の可愛いちび女房ぶりもだ。
しかしまあ決してわかりやすく一般受けする話でもなし、これが終わったおかげで『ALCBANE』という新たな傑作に出会えたという面もあるわけで、一概にこれを終わらすなんて見る目がない!とか語気強く言えないのがムニャムニャ。
読書状況:読み終わった
公開設定:公開
カテゴリ:
講談社コミック
- 感想投稿日 : 2008年10月13日
- 読了日 : 2008年10月13日
- 本棚登録日 : 2008年10月13日
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