首都感染 (講談社文庫)

著者 :
  • 講談社 (2013年11月15日発売)
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本棚登録 : 364
感想 : 45
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2020年の現実では結局実現不可能であった首都東京を完全に封鎖、ロックアウトして日本全体へのウイルスの蔓延を防ぐ、といった状況が出現する。
いささかヒロイックすぎるきらいはあるものの、リーダーシップあふれる内閣総理大臣が、おそらくは日本の歴史上もっとも過酷で厳しい統治者としての決断をする。
潜伏期間の比較的長い、つまりは症状が出るまでに感染者が知らず知らず次々と新たなる感染者にばらまいていくという厄介な性質のウイルスを、医療従事者を始め、登場人物たち全てが封じ込めるため、抑え込むため、そして一人でも多くの患者の命を救うために命がけで戦う描写は、とても心を揺さぶられる。

ウイルスとの戦いという、人類にとってはあまりに虚しく勝ち目の殆どない戦いを決死の覚悟で挑む医学と政治の迫力の物語であるとともに、これは実は父と子の物語であるのだ。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 未設定
感想投稿日 : 2020年4月30日
読了日 : 2020年4月24日
本棚登録日 : 2020年4月24日

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