原理主義 (思考のフロンティア)

著者 :
  • 岩波書店 (1999年11月22日発売)
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感想 : 7
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原理主義とは、テロリストの事かと思っていた。しかし、基本的には思想の原理を信じる事の意味であり、様々な思想がどの様な内容を根底として抱えているかを知れば、テロリストたちも基本的には思想家であって、思想を掲げた活動家である事が解るだろう。キリスト教の原理主義者たちは暴力とは無縁であるし、暴力に訴えて社会に主張する者たちは、原理の意味を曲解して、不服を溜め込んでいるだけだとしか、思われない。原理とは、思想の一番根底にあるもの、と捉えているが、それは、解釈の問題でもあって、如何様にも捉える事が出来るもの、と思った方が良い。宗教は人間の悩みを救う事を目指すのであって、武力で征服して全てを奪いとる事などは、目指していない。より原理を追求しようとする事は、知的な探求であり、暴力の痛みを称揚する方向に向かう事は、悪魔主義と呼んだ方が良いと思う。しかし、一つの思想に染まった集団が、暴力を肯定するとなると、狂気的な残虐行為さえ厭わずに、目的に対して猛進するだけだから、宗教の名の元にも置けぬ存在となる訳です。テロとは無法者の最悪の武器であり、世界中に分散した、裏世界の支配権力でもある。テロリストの原理を、我々は知らねばならない。そして、暴力の原理を解明する事が、身に迫った緊急問題である事だと、感じずにはいられない。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 宗教
感想投稿日 : 2012年9月21日
読了日 : 2011年8月21日
本棚登録日 : 2011年8月21日

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