「蜩ノ記」
映画は見ていないが文庫になっていたので読んでみた。
お家騒動に巻き込まれ10年後の切腹を申しつけられ、その10年間の間に藩の歴史を編纂するように言いつかった戸田秋谷の物語である。
物語はひょんな弾みで親友に怪我を負わせ、切腹処分の代わりに戸田秋谷の監視役として派遣された檀野庄三郎の話から始まる。
庄三郎は次第に秋谷の清廉潔白で領民たちを思いやる心に動かされていく。
お家騒動の原因が次第に解き明かされていく謎解きと、迫る秋谷の切腹、そしてその中での秋谷、庄三郎、その他の登場人物の思いがよく描かれており、引き込まれる。
秋谷は自分が切腹することについて、やることはやったので思い残すことはないと言うが、慶仙和尚に残された者の思いを汲んで死ぬことをためらう心があることが本当の悟りだと諭される。
主人公の戸田秋谷が己の意志を貫くあまりにストイックな理想的な武士に描かれすぎているところが少々気になるが、いい作品だと思う。
映画は役所広司、岡田准一が演じているが一度見て見たい。
読書状況:読み終わった
公開設定:公開
カテゴリ:
小説
- 感想投稿日 : 2017年6月17日
- 読了日 : 2017年5月20日
- 本棚登録日 : 2017年5月20日
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