「白い満月」
精神というものの不思議を感じる。
なんだか、「女」という生き物の、奇妙な精神の力が描かれているように感じる。
弱い男。
そして、したたかであると同時にもろくもある女。
ここに出てくる女たちには、それぞれの吸引力がある。
そして、男はそれに振り回されているのだ。
「壁の染み」
この人は、暇なのだろうな。
たかだか壁の染み一つから、ここまでグダグダと思考を流すことができるのだから。
文化だの常識だの、誰かが決めたことに振り回されるあほらしさ。
そういう思いが伝わってきた。
本当にものごとを知る、ということの不可能さのようなものも。
科学や文化への嘲笑か。
思考の断片が寄り集まった文体なので、読みにくい。
読みにくい中で、こういったものを感じた。
「途上にて」
幻想的過ぎて、共感がしにくい。
変な夢を見ているような気持がした。
手ごたえが薄い。
正直、こういうタイプのものは、疲れる。
そして、私には、残りにくい。
読み終わったと同時に、淡く揺れて消えそうで消えない光。
その実態はわからない。
そんな印象だ。
正しく、幻のようなテイストの作品だと思った。
読書状況:読み終わった
公開設定:公開
カテゴリ:
9・文学
- 感想投稿日 : 2019年9月18日
- 読了日 : 2019年9月18日
- 本棚登録日 : 2019年9月18日
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