しょうこさん
大岡 信
岩波書店 (2004年11月25日)
詩歌
現代の詩人たちが国境を越えて、数行ずつの詩を貼り合わせひとつの作品としていく試み。作品そのものよりもそこに集った詩人たちの個々の問題意識、詩壇に問う姿、読者に対する思いを語る座談会風景が格別に興味深かった。「やってる側は面白いけど、読む人は面白い...
灰谷 健次郎 長 新太
文研出版 (1975年01月)
絵本
穴に落ちてしまった犬を助け出したい子どもたち。でも大人は全くあてにできない。どうしたらここを乗り切ることができるか、子どもたちは仲間で相談する。下校時は子どもたちにとって、ひとつの教室である。そこで学ぶ先輩の智恵、友達の素晴らしさ、新しい自分。こ...
アーノルド・ローベル 三木 卓
文化出版局 (1977年05月15日)
がまくんとかえるくんのシリーズもの。感性の違う二人(二匹か?)がそれぞれに自分の持ち味をいかして、適切な距離で友達関係を作っていくお話。絵はカエルなんで個人的には「うっ!」と来るが、素朴な色あいで、小学校低学年の教科書にも登場している。「ともだち...
秋元 康
角川書店 (2001年02月)
随筆
作詞家であり様々な創作活動の拠点となれる秋元の目線は、なぜかとても優しい。決して厳しい言葉で人を叩いたりしない。世の中に愛情をもっていて、色んな人の苦しみを吸い上げてその詞が生まれるのだとわかる。おじさんは辛いのだといいながら、それでも決して汚く...
山田 詠美
集英社 (1991年04月)
詠美の文章がおしゃれなことは言うまでもないが、その基底にあるものは軽さではなくて、異様はほどの重さであると思う。そのことを裏付けるように、先行するイメージとは程遠いきまじめな女の生活がこの中にはある。「私が言いたいのは、自分セルフイメージに美意識...
林 真理子
文藝春秋 (2001年03月)
「自分が若くないことを認めた時から、人は二つの道のどちらかを選ぶことになる。完璧に居直るか、あるいは若い人たちにすり寄っていくかだ」真理子、あなたは偉い。本当によく自分を知っている、そしてそれを言葉にできる。ちなみに私は「すり寄っていく」ほうだ。
マガジンハウス (2003年09月)
真理子の小説は個人的には時代性という以外、今ひとつぴんとこないのだけど、随筆はどれも破格に面白い。どこまでも自虐的な彼女の目線に、みんな「自分のほうがちょっとマシかも」と思うのかもしれない。美女は恫喝する男に弱い。いつもちやほやされている女ほど、...
ドロシー・マリノ まさき るりこ
ペンギン社 (1982年04月)
学校という集団生活に慣れるまでの、くまのくんちゃんの格闘。でも周囲の大人たちは非常にのんびりとしてて、ゆったりと子どもの成長を眺めている。最初はとまどっていたくんちゃんも、ちゃんとすぐに自分の居場所をみつけてじぶんらしく過ごしていく。四月、学校に...
アリス マクレーラン エリック カール
偕成社 (1987年10月01日)
エリック・カールの美しい絵本。荒れた岩山と、そこに一年に一度やってくる小鳥との情交。ここにいてくれないかという山の声に、小鳥はまた来年必ず来るからと答える。そしてその言葉通り約束は鳥の子どもにも引き継がれ100年も続くのだが、山の孤独は山自身を壊...
土方 久功
福音館書店 (1985年02月28日)
初めてのおつかいという番組があるが、おかあさんに頼まれて初めてかいものにいくぶたぶたくん。その道すがら、友達のからすやくまと会い、お互いに助け合いながらその勤めを果たす。最後のおかあさんが心配して道に出ているところなど、本当に素敵。この日、ぶたぶ...
佐野 洋子
講談社 (1992年05月22日)
おでかけする時、しっかり傘をもっていくのに、多少の雨では開かないおじさん。大事な傘が濡れるのがいやなのだ。その傘は雨を受けて素敵な音がさせる。「あめがふったら ポンポポロン あめがふったら ピッチャンチャン」。生まれて初めて傘を保ったときの子ども...
ロイド・アリグザンダー 神宮 輝夫
評論社 (1977年04月)
児童書・教育
どこの世界にもいいやつがいれば、厭なやつがいる。その中で切磋琢磨していくことが生きていくことだが、猫が人間になったとしてそれがどこまで出来るだろうか。心惹かれる女性もできて猫は最後に「人間になりすぎてしまう」。彼女がいう「いえ、ちがうわ。私は最後...
森山 京 広瀬 弦
あかね書房 (1996年05月)
母国語をどう学習して身につけたのか、その過程を記憶する人は少ない。誰でも最初は濁点や撥音便などに躓いただろう。主語と述語だけの二語文から、段々と長くなって……返事がきた時の嬉しさ。 この本はなんといっても小学校一年生に勧めたい。一人暮らしのおばあさ...
ハリー・ウー 山田 耕介
阪急コミュニケーションズ (1996年12月)
社会・文化
資本階級にある知識人は、少なからず弾圧を受ける。もしそれがこの民族の暗黙の了解であるならば、こういう告発本は生まれてこないだろう。北朝鮮にしろ、かつてのソ連にしろ、拘束の危険を何度も感じながら調査を訴えを起こす彼等というのは、何も言わない人たちよ...
馬 光洙 熊谷 明泰
テレビ朝日 (1994年01月)
文芸
韓国現代文学の一冊である。ちょうどの日本のバブル、ジュリアナ東京の時代のように、韓国が経済成長を遂げ、女の子たちも豊かに美しく羽ばたいていくその時代。女子大生のサラの男性遍歴を描いている。この作品は筋そのものより、儒教倫理の確固たる韓国社会と文壇...
朝鮮時報取材班
柘植書房新社 (1990年05月)
日朝であるいは日韓で何かことがおきると、在日の子どもたちが哀しい目に遭うのは本当に辛い。単一民族で島国育ちという日本人は、どうしても自分と異なるものを排除しようとする。自国であってもそこは共同国家なのだというぐらいの気持ちにならないと、恨みと仇は...
張 明秀
講談社 (1998年01月)
拉致という犯罪に荷担してしまった苦しみの前書。そしてこれは、朝鮮総連の中の幹部であった人が、多くの同胞を「北こそ永遠の楽土だ」と謳い多くの仲間の北に返してしまった自分の罪の告白。日本にいて差別を受けるよりは、よほどいいと思った著者の気持ちは決して...
朴 春仙 朴 春仙
ザマサダ (1994年06月)
運命を弄ばれるという言い方をするが、この著者はまさしくそういう人だろう。題名どおり、そういう内容なのだが、それだけではない。この女性は知らずして北朝鮮工作員・辛光洙の東京妻だった。その工作員こそ、原さんの拉致、横田めぐみさんの指導員という、恐るべ...
姜 哲煥 姜 哲煥
文藝春秋 (1997年02月)
一人の証言、そしてもう一人の証言。そこに符合する人々の名前……。気が狂いそうになる。二人は地獄を生き抜いて脱出に成功した。けれど、それは置いてきた自分の家族を殺すことほかならない。その苦しみの中で、韓国に渡ったあとこの一冊を共著した。そこには探して...
鄭 念 篠原 成子
朝日新聞社 (1997年11月)
6年に及ぶ投獄。ある日突然、今までよしとされていたものは破壊される。造反有理、下放、紅衛兵、無実の罪、家族の死……文革の嵐の中、たったひとりで生き抜いた人間の目が見た時代。それでもそこに祖国に対する類い稀な愛情を感じてしまうのは、何とも哀しい。
鄭 義 鄭 義
朝日新聞 (1993年09月)
中国は巨大な国家である。ということは、その底も広く深いのだ。天安門事件の新聞スクラップを私は今でも持っている。この時代にすぐ隣の国で思想の弾圧は武力によって行われた。どこの国でも起こりうることであり、あってはならないことだった。そのために多くの知...
呉 善花 呉 善花
角川書店 (1997年02月)
韓国がオリンピックを経て高度成長時代に入り先進国の仲間入りをした頃、さてその民族はどうしていたか。日本と似て非なる文化の一面を、韓国ブームよりもずっと早くこの人は日本の注ぎ込んでいた。続編も沢山でている。
ユン・チアン 土屋 京子
講談社 (1993年01月19日)
民族の試練。私はそう呼ぶ。その国が国全体をかけて、争い、揺らぎ、国の再構築をする時間。教育を受け裕福な家に育った一人の娘がみた自国の憂い。時代の証言として、これも是非読むべき一冊だとおもう。
鄭 仁和
文藝春秋 (1985年11月)
祖国帰還の夢に浮かれて、なぜ在日の人々は海を越えて北に帰ったのか。総連だけに責任があるのではない。日本の社会が長く朝鮮民族に対する不当な蔑視と暴力を働いたがために、彼等は致し方なくそこを去ったのだ。それは今もなお、決してなくなることのない壁として...
崔 銀姫
文藝春秋 (1989年03月)
物語ではない、現実にあったことだ。別々の場所で同じ目的のために拉致された夫婦が、北朝鮮で再会し、長い年月をかけて逃亡する。再会の驚きは、安堵の他に、最愛の人も同じ苦しみの中にあったのだというもっと深い苦悩を呼び起こし、それが二人にとってあの国を脱...
金 元祚
亜紀書房 (1984年03月25日)
私にとって一生忘れることのない一冊。本書出版当時、ある集会で私は北朝鮮の体制について、現状について強く訴えたが、周囲の大人は誰も耳を傾けなかった。若い私を嘲るような視線で嘆息していたあの大人たちは、今の北朝鮮をどう語るのだろう。あの時動いていれば...
遠藤 周作
新潮社 (1981年10月)
葛藤。ただただ葛藤。キリシタンが踏み絵や拷問によって信仰否定を迫られるという内容だがそれだけではなくて、今の世界に通じる「無視」「黙認」そうした誰の中にでもある問題を問うていると思う。遠藤の根幹をなす作品。「神よ、なぜ沈黙するのか」といいながら宗...
高野 悦子
新潮社 (2003年05月)
著者と同じ年齢の頃手にして、ショックと安堵と両方を得た。生まれてくることは誰にも選べない。けれど死は選べると思った時、本当に嬉しかった。当時の私には学生運動もないし恵まれた時代だったが、魂は虚ろだった。「醜い人間は美を求めることができるのだ」とい...
柴田 翔
文藝春秋 (1974年06月)
青春という言葉が堂々とまかり通って、そこを通る以上は自己にも他者にも闘わなければならなかった時代。私はその時代になかったけれども、ではそこにいて闘うことができたのだろうか。闘えた彼等と、ただ時間ばかりが無尽蔵にあって空虚な今の時代と果たしてどちら...
内田 春菊
集英社 (2000年02月25日)
性の文学の著者だが、この短編集は一見性的でありながらそうでもない。「若妻にやる気をなくさせる方法」「働く妻にやる気をなくさせる方法」など、男の視点から述べられる女の姿は見事だ。他にも「才能のないやつは死んだほうがいい」も、さらっと面白く読める。面...
辻 仁成
世界文化社 (2001年01月09日)
多くの人がいいという作品なのだけど、私は残念ながらだめだった。話は悪くないし十分に読めるが、登場人物の生きる時間が長すぎて葛藤部分が希釈されすぎ。もっとどろどろした時間があるはず。そこが描かれていないのが、とても残念だった。できるなら、これはもう...
車谷 長吉
文藝春秋 (2001年02月)
魂が傷んでいるから破滅するのだろうか。傷んでいないから、破滅するのではないか。解説では荷風の「断腸亭日乗」の影響を指摘されているが、斜に構えた世情唾棄の姿はこの作品の中には感じられない。見えない何かに操られるように破滅していく一組の男女の稀に見る...
五木 寛之
講談社 (1971年10月)
時間の傷をずっと抱えている女、そういうものを振り切って行こうとする女、さらに次のものを作っていく女。かなり古い作品だが、結局どの時代でも同じなんだなと思う。「人間なんて、どんな時だって二つの相反する愛憎の渦の中で生きているんだよ。憎みながら愛する...
浅田 次郎 北上 次郎
講談社 (1997年07月14日)
賛否両論かもしれないが、浅田の作品の中ではこれがピカイチだと思った。内容も濃くてだけど仕掛けがあって、泣かす力もあって。最後の最後に「え?」というあのくだりには、驚く。私にしては珍しく何度も読み返した一冊。騙されたと思って読む価値あり。
妹尾 河童
講談社 (2002年06月25日)
悲惨な戦争の体験を「辛かった」と語るのではなく、著者は「それが子ども時代だった」とまるでアルバムを開くように見せてくれる。成長過程において、段々と大人社会への疑問もちらつかせながら「自分は自分」であってもそれで人を切ることのない著者の気だての良さ...
山田 太一
新潮社 (1988年11月)
ドラマを作らせたら逸品である人の文字の世界はやはり斬新である。近頃、彼女がドンドン若返ってしまうというライトノベルズがあったが、実は同じように時間を逆行していく女を愛する話はとっくに山田に書かれている。映像化もされているので、このタイトルはご存じ...
島尾 敏雄
新潮社 (1981年01月)
大学入学してすぐに読んだ。多くの人が「気持ち悪い」「うんざり」という感想をもらすが、私はこんな小気味いい話があるんだと感心したものだった。人が狂気に至るきっかけは本当にささいなもの。最近、この「死の棘」に関する日記という「死の棘日記」というものも...
常盤 新平
講談社 (1986年08月)
アメリカが、まだ憧れでもあり希望でもあった時代の青春。著者自身の軌跡でもある。なにもかもが不安定で、でも夢だけはいつでもあって、なくしたくないものを握りしめながら焦れる姿。「そういう先のことがらはすべて濃い闇の中にかくされている。明日にもこわれて...
辻 邦生
朝日新聞社 (1987年03月)
その人を好きになった時から、自分が大きく変わっていく経験は多くの人がもっているだろう。恋は事故だ。出会い頭に魂が交歓しあう。登場人物は場所をかえ、何度も同じことを繰り返し言う、自分の力でどうしようもないのが愛だと。「この盲目的情熱の中だけ、男も女...
川西 蘭
集英社 (1990年02月)
懐かしい歌のような一冊。どこにでもある恋のかけひき。不安定で切なくて、ああそうだよと思う。「もし彼女がいなければ、とぼくは考える。たぶん、あらゆる他人に自分を明け渡していただろう。何の抵抗もなく、自分が失われることに恐怖さえ覚えず」男の子だって苦...
村上 龍
講談社 (1980年10月22日)
私にとっての龍ワールド、最初の一歩だった。速度と破壊度のある文章はさすがと思う。「時間に負けるような美しさで夢を買おうとしてもだめなのよね?夢を買えるのは血と汗と涙だけなのよ、どう思う?」というところで私は泣いた。
渡辺 和子
PHP研究所 (2000年12月)
下の一冊と表は異なるが、目指す処は同じ、心の安定と赦しだろう。「いきるべきなぜ、を知る者は、ほとんどすべてのいかに、に耐えうる」というニーチェの言葉を出して、生きることを真正面から説く。著者はキリスト教系学校の教育者であり、弱い者に寄り添う日常の...
玄侑 宗久
新潮社 (2004年04月)
「あるがまま」でいいじゃないか、といいながらそれにさえ行き詰まってしまったら、どうすればいいか。「ないがまま」でいいのだ、という著者は臨済宗の僧侶。「受け容れることは同することではなくて和することだ」という言葉は今の私にかなり痛い。「目標の実現に...
(1992年02月00日)
「近代哲学は死の概念を欠いている」と著者は言う。日本には中国とも韓国とも異なる死の概念があり、それを縄文の遺跡や現在もわずかに残る風習の中に見る。死んだ人の霊、というと、なぜか胡散臭く感じるが、しかしながら近代科学の底の浅さでは到底検証しきれない...
大村 はま
筑摩書房 (1995年03月)
大村は、戦後日本の国語教育の第一線を歩いてきた恩師である。彼女を一言でいえば「謙虚」だ。教師に「つかいたくない言葉」として「〜しなさい」をあげ、「専門職としてみっともない」とまで言う。身を以て教えるとは何か、国語教師に望まれることは何か、目標、生...
河合 隼雄
講談社 (1995年10月)
ユングの研究者である著者が色んな教育現場の人と語り会う一冊。それぞれの先生の苦労と実感が沁みてくる。思春期は不特定多数に向かっての発言は苦手であり、ターゲットを搾ることによってめざましく文学教育がはかどるという指摘には頷いた。教師は仲介者でありな...
押川剛
情報センター出版局 (2003年05月22日)
めちゃめちゃ面白い。そしてためになる。人が一人前に成長し社会に出ていくためには、こんなにも周囲の大人の努力が必要なのかと、まさに涙ものだ。中でも、私が爆笑したのはここ。「両親がどのようなプロセスを経て交際をはじめ、結婚に至り、そして子どもが生まれ...
阿古 真理
集英社 (2004年02月17日)
まる子世代とは、1964〜69年生まれをさす。この時代の人たちはまさにバブル崩壊時に、社会に出た雇用機会均等法の洗礼を受け、男女同権の中でもみくしゃれにされたあと、女性たちにのこされたものは何だったのかを考察する。そこから家庭に入り子育てに従事したもの...
松野 大介
飛鳥新社 (1998年12月)
文章的風俗、と言いたいぐらい軽い内容だ。けれどそこに綴られた男の本音は正座してきくべき価値がある。女と妻はどう違うのか、SEXの前後に思うことの男女差、女の言葉遣いについてなど。多分筆者はもの凄く口の悪い男だ。でも彼の目に叶った女は、かなりいい女だ。
藤原 智美
プレジデント社 (2000年07月)
その家の中に何も作れなかった、という話を書いた。家とは何か。器でありながら、その家庭の本質を表す動かない生き物。自由に出入りできない子ども部屋、夫婦別室の意味、携帯電話の食卓破壊など、興味深い内容。家を持つことで歪むものがある、というのは建築業界...
金原 ひとみ
集英社 (2004年01月05日)
好きかキライかが、はっきり二極化する作品だが、私は「苦手」である。話はきっと10〜20代の人ならすんなり受け入れられると思う。「痛い」という感覚は肉体を通し精神に到達し、さらに激化するといったらいいか。学生時代に池田満寿夫の「エーゲ海に捧ぐ」を初...
山崎 ナオコーラ
河出書房新社 (2004年11月20日)
「本やで立ち読みできる作品」という、唸るようなほめ言葉の置かれた短編。タイトルと作者名に惹かれて手にする人が多いと思うが、内容はどシリアスだ。すーっと煙のように人妻ゆりちゃんとの恋は始まり、彼女の旦那さんと一緒にも会って、そして彼女はまた彼の前か...
井上 荒野
集英社 (2004年03月26日)
大恋愛で結ばれた筈の両親。ところが父はある日、恋人と旅行中のところ急死する。未亡人となったママとその周辺の男性たち。主人公の私とボーイフレンド。そしてパパの恋人とパパの子どもの出現。現実だったらドロドロだが明るくからっとした筆致で救われる。なおか...
下田 治美
角川書店 (1993年04月)
虐待には様々な種類がある。だが、どんな仕打ちを受けその相手を呪おうとも、心の底に転がっているものはその現実とは相容れないものであったりする。母が娘をいたぶる。娘はそれでも「母」ではなく「母親」というものを求める。なんて哀しいことか。「そうだ、この...
宇野 千代
角川書店 (1996年02月)
智恵の塊のような人だった。あらゆる困難を笑顔で乗り越えていく気質は一言でいえば「楽天的」だけれど、影の覚悟と涙さえ女らしい人だった。瀬戸内晴美とよく似ている。「私は辛いと思うことがあると、その辛いと思うことの中に体ごと飛び込んでいく」。生きてきた...
森 瑤子
集英社 (1993年08月05日)
粋な男と女の世界を描く作家としてもてはやされた人だが「夜ごとの揺り籠、舟、あるいは戦場」を私は推したい。娘の異変からカウンセリングに通いだし、夫とのすきま風の原因は自身のACにあったと気づくその課程は本当に苦しい。凄まじい夫婦の口論、乾いたセック...
瀬戸内 寂聴
新潮社 (1974年09月)
平凡であるか非凡であるかの境は、どこまで日常を容赦なく捨てられるかにかかっているのではないかと思わせる。何もかも捨てる。そんなことは誰にでもできることではない。晴美の人生は絶えず選択と消去の繰り返しだった。「どうせ自分から捨ててしまった安穏と平和...
田辺 聖子
講談社 (1981年06月12日)
「言い寄る」「私的生活」「続・私的生活」という3文作の中核。好き好きで一緒になった二人に、ある日冷たいすきま風は吹き抜ける。女は「明るく」悩む。この人に優しくしてあげたいと思う気持ちは、もしかしたら残酷なことなのではないかと。愛と依存の狭間で、誰...
マリア ブラッキン Maria Brackin
新潮社 (1995年12月)
3人の子どもの母は家事に育児に自身を消耗し、ただ古本屋で大量の本を買っては読破することしか楽しみがなかった。その母が作家として成功し夫である男はそれを疎み、やがて家庭は崩壊していく。国際結婚であった森は娘から見てもおしゃれで、自慢の人だった。けれ...
平岩 弓枝
講談社 (1984年05月)
平岩の祭シリーズはいくつかあるが、私はこれが一番好き。恵まれた家庭の妻でありながら、ただ夫との間だけはどうしようもなかった女に新しい男が現れる。嫉妬に狂った夫が二人を執拗に追いかけていく。家庭から自立したかった妻。妻を誰にも触れさせたくない夫。女...
原田 康子
角川書店 (1973年09月)
中学生時代、原田康子の世界に溺れた。早く大人になりたくて「挽歌」に出るくるような壊れた妻や壊していく少女に成りたくて、もの凄く憧れた。そのあと出会ったこの「輪唱」で、私は心底誰かに愛されたい、望まれたいと思った。あの妻もあの少女も、みんな愛された...
有吉 佐和子 広中 和歌子
講談社インターナショナル (2004年01月)
画像は翻訳ものだが勿論原作を読みたい。一人の男を二人の女が取り合うなど珍しくもないが、それが妻と母であったら壮絶さもここまでくるか、という嫁姑の物語。医療のために自身を献体するのだが、医療が目的なのはどこまでか。本当はただひとりの人の心を占有した...
松岡 享子
こぐま社 (1978年11月20日)
ある章の「本を読むことと字を読むこと」という、そのタイトルだけで胸をつかれはしまいか。何故今の子どもたちはお話を心から楽しめなくなってしまったのか。ではどうしたらいいのか。人の話がきけ、物語が聞け、言葉の力を信じることが出来、子どもの世界が物語を...
松居 直
日本エディタースクール出版部 (1973年12月)
子どもを持つ親のために、保育者のために、幼児の言語体験、そして絵本の編集者として、広い視野で書かれている。文字通り「絵本とは何か」。適切な絵本の選び方とはどんなものか。ディズニーが破壊してしまった絵本の夢についてなど、育児書としてもとても参考にな...
ローリー カールソン Laurie Carlson
ブロンズ新社 (1995年06月)
楽しい!ホントに楽しい!単なる工作の手引き書ではなく、粘土にはどんな種類があってとか石膏とはどういうものかとか、季節ごとのオブジェの作り方など大人が十分に楽しめる。私が感動したのは後記の「大人へのアドバイス」で子どもの作品には「作家名をつける」と...
なかがわ りえこ おおむら ゆりこ
福音館書店 (1967年01月20日)
私のコメント必要なし。これぞ日本の絵本の原点。この本にもホットケーキが出てくるが、これは卵焼きじゃないの?とつっこみを入れたくなる私は「ぐりとぐらのおきゃくさま」が好き♪
わかやま けん
こぐま社 (1972年10月15日)
ミッフィーやキティーと比較すると、とてもシンプルな顔だちで「可愛い?」と訊きたくなってしまうのだが、多分そこがいいのだろう。しろくまちゃんがあっさりしているからホットケーキは美味しく見える。(笑)絵本とは、本来そういうシンプルなものであるべきだと...
マーシャ・ブラウン
福音館書店 (1965年07月01日)
同じ言葉の繰り返しは、子どもに安心感を与える。この本では全く同じ言葉ではなく、物語のクライマックスにむけてそれが少しずつ助長される。「トロル」との戦いにむけて一緒に橋を踏みならす言葉の力を感じる。ごっこ遊びを「てぶくろ」と共によくやった。(笑)
講談社 (1977年10月19日)
絵本は子どもにとって視覚的な教書であるが、大人にとってはテキストとしての教書である。いかに生きるか、という重い主題のこの本は幼児はいささか高度な内容だと思う。ただ、大人が読めば感じることは多いだろう。100万回生きることにプライドをもつ猫が、たっ...
ガース・ウイリアムズ ガース・ウイリアムズ
福音館書店 (1965年06月01日)
原題は『The Rabbits' Wedding』というだけあって、よく結婚の贈り物に選ばれる一冊。好きな人を一心に思い続けていく間には、相手の哀しい目、苦しい表情にどうしても立ち会わなくてはならないが、かけがえのないその存在の温かさに私たちは何度も癒される。白と黒...
エウゲーニー・M・ラチョフ
福音館書店 (1965年11月01日)
「見立て」というのは面白いもので、例えば和歌の中にもありえないだろうと思う「〜のような○○」というイメージの喚起があるが、この手袋も大きな概念の袋である。元は小さなしかも片手だけの手袋なのに、そこに少しずつ動物たちが押し合いながら入っていくことで、...
五味 太郎 ミア・リン・ペリー
アールアイシー出版 (2005年02月)
画像が英語版しかなかったのだけど、五味さんの色彩豊かな楽しい中味は日本語でも同じ。可愛い金魚が、これまた色んなものに姿を変えて「かくれんぼ」するのを探し当てていく絵本。「あった」「これ」という単語を覚え始めたお子さんと一緒に捲ると楽しい。
松谷 みよ子 瀬川 康男
童心社 (1967年04月15日)
なぜ幼児に繰り返し「いないいないばあ!」が必要なのか。それが判ると、すとんと何かが落ちる。私たちは一生をかけてその時最も自分に必要な人を捜し求めている。もし、隠れてしまったその人が二度と現れてくれなかったらどうだろう。子どもは振り返り振り返りして...
大島 佳世
文化出版局 (1998年12月)
生活
別珍・ラムウール・フリース・コードレーン・ピケ・ワッフル・麻・木綿。同じ白の布にも様々な風合いがあり、並べればそこには白のグラデーションができる。ティーコゼーやタペストリー、ベッドカバーにカフェカーテン、ぬいぐるみ・オーナメントなど、どれも作って...
(2002年10月00日)
ペンキ塗り、のこぎり・金槌大好き。電動ドリルも買った。端材は拾ってくるか、不燃ゴミからもらってくる。間違ってもTハンズなんかで材料揃えてはいけません。そういう私のための教科書。貧乏って工夫できるから幸せよね、って思う。私のHP「IVORY ROO...
バーバラ・スタニー
ディスカヴァー・トゥエンティワン (2003年07月31日)
お金は無いより有った方がいいのだが「儲けよう!稼ごう!」を前面にだされると私は一目さんに立ち去りたくなる。お金は成功すればそこに付いてくるものであって、では女が8桁稼ぐにはどうしたらいいか。それは勿論精神改造であるよと、まあそういうことで、私がと...
大和 和紀
講談社 (1992年07月)
漫画
谷崎・与謝野・円地・瀬戸内と源氏物語の歴史は色々あるが、この大和源氏も全く遜色はない。「国文科の生徒がこんなもん読んで判ったような顔して。恥ずかしいと思いなさい」と大学で教授に言われて苦笑したが、どうしてそんなことがあろう。国文科に進学する生徒で...
山本 鈴美香
中央公論新社 (2003年06月24日)
嫁入り道具として持ってきた私と一緒に火葬してほしい本。16世紀宗教戦争を背景にいよいよ佳境に入った所で連載中止。未完の大作。多感な時期、人生の何たるかを私はこれで学んだ。台詞の多くを暗記しているほど。私が好きになる男はみな、登場人物のクレメンテ公...
池田 理代子
集英社 (2005年06月20日)
この辞典ではなく、あくまでも原作品そのものを評価したい。特に第3部のロシア革命周辺の左右の思想活動と愛情の板挟みになる民衆の苦悩はいたたまれない。池田の偉業はこうした社会的視点を少女漫画の世界にしっかりと根付かせたことにつきるだろう。ともすれば胡...
一条 ゆかり
集英社 (1996年12月13日)
男の一歩後ろを下がって、女は可愛らしく微笑んでいればいいなどと、誰かもう信じるだろう。でもこれが描かれた頃の少女漫画といえば、好きな人をそっと見つめて系の女の子ばっかりだった。女だからこそ、男と闘わなくてはならない。男と闘わなくてはならないから、...
谷川 俊太郎
近代出版 (2001年09月)
谷川が言う。「難解な哲学用語や詩語は必ずしも必要ない」哲学者である父親をもった彼にとっては、一見とっつきにくい哲学というものであっても、人間である父の表現する「日常」でしかなかったのだろう。谷川の詩一編に、ヘーゲルの研究者である長谷川宏が同じテー...
久保 覚 生活クラブ生協連合会『本の花束』
青木書店 (2001年05月)
女の口からではなく、女の体そのものから出た言葉の数々。多くの詩歌、著書の紹介でありがら、著者そのものの紹介でもあり出会いの花束になっている。「墜ちてゆく 炎(も)ゆる夕日を股挟み――三橋鷹女」「社会のモラルの高さあるいは 文明度を測る尺度は そこで...
嵐山 光三郎
新潮社 (2003年04月10日)
6度死にかけたという筆者が「自分の死の受容」を考える。ただの体験記ではない。出版業界人である彼故の多くの作家、著名人の死と作品、その後を網羅する。病院とのつきあい、遺書の書き方など盛りだくさんながら、語り口は淡々。それはやはり彼が自分の死を生きな...
松岡 享子 林 明子
福音館書店 (1982年04月30日)
日本人は大の風呂好きだが、元々は家屋の中にないものだったのではないか。だからこその愛着。あの狭い空間でこだまする声は不思議な音色で、この絵本を読んでいる間にも「ぼく」の声も動物たちの声もみんな反響しているようだ。1,2と数える声が10を過ぎると途...
ピーター フランクル Peter Frankl
宝島社 (2002年03月)
12カ国語を操るピーターの「日本語珍道中」とでも言おうか。漢字文化の中で育っていない彼には部首や書き順は勿論、四字熟語、人名漢字、短歌・俳句などハードルは高い。その彼が世界の言語の中でも日本語が一番好きだといい、石原都知事のカタカナ英語を非難する...
(2004年03月26日)
タイトルは「夫」とあるが、これは寧ろ「男」と置換するべき。その視点でのみ、この本は読むに値する。非常にどうでもいい内容で、でも女の自分にはわからないことだらけで、現実に擦れ違いにぶつかった時に読むといいかも。「帰宅拒否症」や「実家とのつきあい」「...
光文社 (2001年08月)
あー、私のことかぁと思って読んだが、龍の独特の物差しではあってもなるほどなと随所で思う。例えばブログのような一種のエクスポーズの裏には、だめな女の実情があるのではなくて現在の社会「淋しさ」そのものがあるのだという指摘。「愛情に恵まれずに育った子ど...
坂本龍一
幻冬舎 (2001年12月20日)
9・11は「書かなくてはいけない」と初めて私に強く自覚させた事件。何本ものVTRを保存し、叫べる場所を探して「NO」を叫んだ。でも一番大切なのは、絶えず感心を持って忘れないでいること。やった側もやられた側も、多大な犠牲を払って私たちに示唆したのだ...
斎藤 環
紀伊国屋書店 (2003年12月20日)
「ひきこもり」という言葉が市民権を得たのはバブル崩壊と同時期か。それは病名ではなく、システムだと言う。社会と自分との間にできるこの亀裂は、海外で英訳されることなく「hikikomori」と綴られるという指摘に愕然とした。「母と息子の密着」「去勢否認」「身内...
松井 るり子
ほるぷ出版 (1998年10月)
育児、殊に教育とは何かを与えることではなく、すっきりと見通しよく整理していくことではないかと思う。本書は育児日記でもあり絵本の紹介書でもあり、ぱらぱら捲るだけでも楽しい。しかし子どもへの思いは深い。「この世はまず楽しんでみるべきで、その後に自分の...
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