鬼譚草紙 (朝日文庫 ゆ 3-3)

  • 朝日新聞出版 (2006年9月1日発売)
3.66
  • (10)
  • (12)
  • (20)
  • (1)
  • (1)
本棚登録 : 114
感想 : 16
5

人と鬼、血縁関係、此の世と黄泉。
大きな隔たりを越えるのは、それぞれの強く、一途な想いのみ。
そのきっかけとなるのもまた、几帳や御簾などの物理的な隔たり。

一途であることは、時に辛く、苦しい。
それ故に、人は鬼にもなれ、鬼をも受け入れることができるのではないか。

染殿の后物語の、語り手の美しい言葉。
紀長谷雄物語の、喪失感の中で哀しく溢れる才能。
篁物語の、距離を計る歌のやり取り。

繊細で上品な描写に、妖艶さが相まって、それぞれの物語がもつ魅力に強く惹きつけられる。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 未設定
感想投稿日 : 2013年6月16日
読了日 : 2013年6月14日
本棚登録日 : 2013年6月11日

みんなの感想をみる

コメント 0件

ツイートする