人と鬼、血縁関係、此の世と黄泉。
大きな隔たりを越えるのは、それぞれの強く、一途な想いのみ。
そのきっかけとなるのもまた、几帳や御簾などの物理的な隔たり。
一途であることは、時に辛く、苦しい。
それ故に、人は鬼にもなれ、鬼をも受け入れることができるのではないか。
染殿の后物語の、語り手の美しい言葉。
紀長谷雄物語の、喪失感の中で哀しく溢れる才能。
篁物語の、距離を計る歌のやり取り。
繊細で上品な描写に、妖艶さが相まって、それぞれの物語がもつ魅力に強く惹きつけられる。
読書状況:読み終わった
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- 感想投稿日 : 2013年6月16日
- 読了日 : 2013年6月14日
- 本棚登録日 : 2013年6月11日
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