書店で試し読み用の小冊子を読み、おもしろかったので購入した。
こうした魔物や妖怪(本作では「亜人(あじん、デミ)」と呼ばれる)が出てくる日常系の話は好きなので、いくつか読んだことがあるが、落とし込む際にネックとなるのが魔物の性質だろう。
例えば、バンパイアは血を飲まなくても平気なのか。この問題を解決するために、大抵「輸血パック」か、そうでもなければ色の似ている「トマトジュース」なんかを使ってお茶を濁す場合が多い。
本作でも輸血パックやトマトジュースのくだりは登場するが、血を飲まなくても平気な理由の説明が非常に分かりやすくて感心した。
ただ、冒頭で当然のようにその存在が語られている「亜人」が、遺伝ではなく「突然変異」に近い形で生まれてくるという設定は少々理解に窮した。
冒頭では「古来から魔物や妖怪は存在していて、時には伝説の基になり、時には迫害も受けていたが、今では人間界に馴染んで共生するようになりました」と語られ、ここまではありがちだし、容易に理解できる。
しかし「遺伝ではなく突然変異」ということは、単純に亜人の夫婦から亜人の子が生まれるわけではなく、先天性の「特異な体質」として、人間同士の夫婦から突如「亜人」の性質を持った子供が生まれてくる世界なのだろうか。
作中に登場する小鳥遊姉妹も、姉はバンパイアだが妹は人間だし、両親のどちらかあるいは両方がバンパイアであるという説明も(少なくともこの巻には)見られなかった。
この設定が今後どう掘り下げられていくのか、あるいは一種のタブーとしてあまり触れられないようにしながら話が進むのか、少し気になる。
さて、1巻に登場する「亜人」は、家族の中でたった一人のバンパイアの少女。世界に3人しかいないデュラハンの少女。周囲と打ち解けず陰口に悩む雪女の少女。そして体質故に恋愛も出来ないサキュバスの女性教諭だ。
ともすれば量産型ハーレムラブコメの一つに成り下がってしまいそうだが、主人公の冴えない生物教師と亜人の女性たちがただいちゃつくだけではない。そこには亜人ならではの悩みと葛藤、そしてそれに対する主人公なりの「返答」も描かれる。
自らがマイナーであることに悩んでいる人々と、その他大多数の人々はどう付き合えばよいのだろうか?
現実の社会が抱えるそうしたテーマを、「人間」と「亜人」のやり取りを通じて、このマンガは我々に問いかけているのかもしれない。
……なんちって。もっともらしく持ち上げてみましたが、単純におもしろいですよ。次巻は新キャラも登場するようなので期待しています。
- 感想投稿日 : 2015年4月17日
- 読了日 : 2015年4月17日
- 本棚登録日 : 2015年4月17日
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