QED 百人一首の呪 (講談社文庫)

著者 :
  • 講談社 (2002年10月16日発売)
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読書録「QED百人一首の呪」3

著者 高田崇史
出版 講談社文庫

p239より引用
“「いいか、呪というのは『言葉』のことだ。
まさかお前は、言葉も存在しない、とまでは
言わないだろうな」
「馬鹿を言うな。実際こうして使って話して
るじゃねえか」
「それならば、同時に呪も存在する。言葉と
呪は同一のものだ。どちらも相手の脳に向け
て発信される信号だからな。ウイルスのこと
だよ」”

目次より抜粋引用
“うきよのたみに
 ゆくすゑまでは
 ものをこそおもへ
 やどをたちいでて
 たまそちりける”

 博学な変人薬剤師とその後輩を主人公とし
た、長編ミステリ小説。同社刊行作文庫版。
第9回メフィスト賞受賞作。
 年に一度だけ家族全員が集まる大邸宅、そ
この家事を一人で受け持つ女性が一日の後始
末をしているその時、屋敷の主人が切迫した
声で人を呼んだ…。

 上記の引用は、主人公・桑原崇と同級生で
ジャーナリストの会話。
面白くも恐ろしくもある説ではないでしょう
か。言葉の使い方一つで、相手に害を思うよ
うに与えられるなんて、使う人の思うがまま
にされてしまいそうです。世界中に自分の言
葉が伝わる世の中ですので、相手に対して害
を与えるような物言いには気を付けたいもの
ですね。人を呪わば穴二つといいますし、自
分のためにも、使う言葉は選びたいものです。
 百人一首の謎解きというのが、一つのジャ
ンルとして存在しているそうです。巻末に参
考文献が紹介されているので、興味を持たれ
たらそちらからあたると、より深く楽しめる
のではないでしょうか。
 巻末あたりに謎解きの答えの一部がついて
いて、うっかり開いてしまいそうになりまし
た。読まれる時は気を付けてください。

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読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: た行
感想投稿日 : 2020年2月22日
読了日 : 2020年2月22日
本棚登録日 : 2020年2月22日

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