今回は「商い同心」ときたか。正式には「諸色調掛(しょしきしらべかかり)同心」ねえ。お江戸の物価を監察し、あこぎな商売人を引っ捕らえずに諭すお役目なり。元は定町廻りや隠密廻りとして市中の悪党共を捕縛し、ときに町人などに変じて諜報活動をしていたのが、お奉行から「お主、顔が濃い」、要は二枚目にて目立ち過ぎると閑職に据えられた、なんてオトボケ設定。そんな鍋島奉行も、つっけんどんな元同僚・和泉も、一見して悪徳商人の義右衛門も、子が授からぬと妹と離縁した六蔵さえも、いずれ善人に仕立てちまうのが梶流だ。庶民と自然体で接する八丁堀の旦那・澤本神人(じんにん)は、腹ペコ庄太を引き連れて今日もお江戸の謎を解く。人情味あふれ、欲のない同心を描くのが相変わらず上手い。
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- 感想投稿日 : 2016年3月16日
- 読了日 : 2016年3月16日
- 本棚登録日 : 2016年2月4日
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