一力小説では『くじら組』がお気に入りで、土佐の勇壮な鯨漁に魅せられた。その中で、鯨を見張る山見が「黒船」を確認する件が描写されるものの、その事件が物語の進展に影響なく消化不良だった。ここにそれを引き継いでくれた。主人公・佐吉が奉公する「献残屋」についても、つい先日読んだ『宝の山』でほやほやの知識を得ており、何やら嬉しい。寺田屋永承、ゑさ元後兵衛、吉羽屋政三郎、伊勢屋四郎左衛門、十間堀の利三、まあ善田屋昭兵衛も含めて、表社会に裏社会と舞台は違えども、したたかに生きる町人たちが一力節で描かれている。善悪問わず、信義にもとるふるまいをしでかす野郎には容赦ないぜ。
読書状況:読み終わった
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- 感想投稿日 : 2016年3月24日
- 読了日 : 2016年3月24日
- 本棚登録日 : 2016年3月19日
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