法人税が分かれば、会社のお金のすべてが分かる (光文社新書 430)

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  • 光文社 (2009年11月17日発売)
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◼️第1章 会社を宗教法人にすれば税金を払わなくても済む?
・法人は法律の上ではヒトと同じように権利や義務を持つ
・ヒトが所得税と住民税を給料から払う
・法人は法人税を払う(もちろん住民税も)

・法人課税の例外もある
①公共法人=都道府県など地方公共団体やNHK
→公共の利益のために活動しているから
②公益法人=日本赤十字社や学校法人、健康組合
→そもそも営利目的ではない
→収益事業を行う場合はそれに納税義務が発生
③人格の無い社団、財団=町内会やPTA
・宗教法人は公益法人
・神社の御守りの収益は喜捨金=寄付、非課税

◼️第2章 たくあんで法人税を納める事ができたなら(法人税の課税標準)
法人税を払うためにお金を借りる矛盾
・仕入代金の支払は納品を受けてから1ヶ月後
・販売には、製造してから倉庫保管や店頭並べなど、さらに時間かかる
・現金をもらうのは遅れる
・設備投資は資産計上で損金参入にならないから、手元現金はさらに少なくなる

節税プランとしてのよくある提案
・慰安旅行して福利厚生費にする
・役員生保をかける
・社用車の購入
・100万使っても法人税率は40%なので、現金は60万円無くなる

◼️第3章 赤字でも法人税(法人税の税額計算)
留保と社外流出
・損金には2種、留保と社外流出
・留保=認識の時期が違うだけで将来は費用の額と損金の額とが一致する(例えば減損損失
・社外流出=食い違いが永久に解消されない(例えば交際費等の損金不算入額
・食い違い=益金と収益の食い違い

法人住民税の税率
・道府県民税、市町村民税、事業税、地方法人特別税
・税率は地方によって異なる
・法人税額に対してそれぞれ率をかける
・事業税のみ所得に対してかける、かつ累進税率
・地方法人特別税は事業税にかけて算出
・以上を引っくるめて法人税は約40%

◼️第4章 みずほ銀行はなぜ法人税を払わないのか?(繰越欠損金制度)
・青色申告=複式簿記など正規の手順に従って帳簿を記載し、その帳簿に従って所得税および法人を計算して申告する事。また、白色申告以外を指す。
・白色申告=比較的簡易な方法で簿記し、その帳簿に基づいて収支内訳書を作成、所得税及び法人税を計算して申告する事

・100万の黒字と赤字を繰り返す会社の場合、繰越欠損金制度のおかげで資金が枯渇しない
→制度が無ければ2年に1回40万の法人税支払い分で枯渇していく
・長い目で見て儲けに対して40%負担になる事を意図した制度
→不安定な経済を乗り切るための制度
・繰越欠損金を抱えている会社の50%株を取得したら制限の対象になる

◼️第5章 投資会社社員は電話が怖い?(受取配当の益金不算入)
・受取配当には法人税はかからない、子会社の利益から捻出されたものが配当金であり既に課税されているから
・条件があり、25%以上の株式を6ヶ月以上保有している場合のみ、益金不算入
・25%未満の会社からは50%だけが不算入
・大株主は税金がかからないけど少数株主はかかる
→少数しか持っていない株主からは、自社で吸収して事業をやった方が税金が安いのに、という不満は出ないから、半分払ってもらう
・出来るだけ税金は貰っていくスタイル

・配当を貰うときだけ株主になるのを避けるために期間の条件がある

・投資なら↑の課税を受けるが、貸付なら配当に相当する利子を貰うだけ
→稼いだ元会社の利益に対しては課税されていない?

◼️第6章 決算日、肺が凍りそうです(棚卸資産と売上原価)
・付随費用は取得原価に含める
・ただし購入対価の3%以内なら算入しない

◼️第7章 リゾート施設を買ったなら(減価償却)
・一定の条件を満たす減価償却費は損金算入可能
→法人税のルール
→減価償却していいかどうかは法人税法で細かに決められている
・資産の取得価額10万円未満は損金算入可
→消耗品費など
・資本金1億以下の中小企業は、取得価額30万円未満の減価償却資産は、使用し始めた時点で全額損金算入可
・なので中小企業は税負担が軽くなる
・使用可能期間が1年未満の場合も、即損金算入可

まるごと買った場合
・まず土地と建物で分ける(土地は減価償却対象外
・建物も付属物など込みなので按分する
→売買時の帳簿価額や工事見積書などを元にする
・次に資産の種類毎に耐用年数を決める
→実際に使用される期間を合理的に計算して決める
・法定耐用年数が種類、用途、細目ごとにある
→いたずらに短くすると減価償却過大になり納税が減る

償却の方法
・任意に選択出来るけど、資産種類ごとに選択出来る方法が限定されている
・建物付属設備は定額法か定率法、生産高比例法は不可
・定額法=毎年払う額が定額になるよう償却率を設定
・定率法=償却率が定額法の2.5倍。ただし母数が取得価額から償却累計額を引いた値とする

資本的支出と修繕費
・資本的支出=使用可能期間を延長する効果のある支出や、資産価額を増加させる効果のある支出。はっきりした判断が難しい。

減価償却は節税に有効?
・500万円の車を購入して耐用年数6年で定率法
・償却率0.417で初年度は208万円の損金算入
・法人税率40%とすると83万円の節税効果
・結論、500万円のお金で208円の節税はそんなに良くない
・効率で考えると、慰安旅行の方が良い。使ったお金全てが損金算入出来るから
・ただし、車購入には銀行がお金を貸してくれる、2年後に売るらなども出来るから、慰安旅行とトントン位?
・いずれにせよお金が減るのへ変わらない、プライベートで使う位なら、節税のために会社名義で買う?って位

◼️第8章 名ばかり管理職の次は、名ばかり役員(役員給与)
役員給与には損金算入出来ないのが原則
・役員への給与額を増減させる事で会社の利益を簡単に操作できる
・増やしすぎると、減らした時より法人税が大きくなる

・定額同額給与なら損金として認められる

◼️第9章 夜のクラブ交際費(交際費、寄付金、使途秘匿金)
税法上の交際費
・損金加入は限定されている
・1人あたり5000円まで、飲食費のみ

交際費の損金加入
・資本金1億以下なら、年間800万まで、または、接待飲食費の50%まで、を損金算入できる
・資本金1億以上なら、接待飲食費の50%まで、を損金算入できる
・個人事業主は全てを損金算入できる

◼️第10章 取引先が倒産したら(貸倒損失と貸倒引当金)

◼️第11章 株価が半値に下がったら(資産の評価損)
有価証券
・法人税法では、資産売却時に損益を認識する事が基本
・有価証券は日々の値動きを日々認識するものどかは期末時点で時価評価が求められるケースある
・売買目的有価証券がそれに該当
・売買目的外有価証券は取得原価での評価が原則
・償還期限があるものは償却減価法で評価する

◼️第12章 収益物件に買い換えましょう(圧縮記帳などの節税対策)
圧縮記帳による節税
・別の不動産を新たに会社が購入する、つまり買い換えなら法人税が儲けの20%だけ
・3000万で買った不動産を10億で売ったら、9.7億の20%の7760万円だけが法人税になる
・売却益が取得価額から減算、それにより減価償却費が減り、法人税が増える
・課税の繰延でしかない

短期前払費用は損金算入可能
・1年以内に役務提供を受けるものが短期

本当に有効な節税対策はあるのか
・以下を満たすのがその対策であり、自己株式買収が該当
①課税の繰延でなく、永久に税負担が減少
②会社が余計な支出をしない
③PLに損失が計上されない
・他社の株式を購入して、それをその他社に同額で買い取って貰う
・会計上の仕訳は相殺するだけ
・税務上は、有価証券売却損 XX 受取配当 XX
・売却損は損金算入するが受取配当は益金不算入、なのでその分の法人税が節約に
・受取配当はその会社の利益から捻出されるものであり、既に課税されているから

◼️第13章 新聞記事にならないように(申告と納付)
中間納税
・法人税額が20万円を超えると、翌期から中間申告が必要
・期首から6ヶ月経過した日から2ヶ月以内
・資金繰り注意しとかないと納税出来ない

修正申告と更生
・申告が少ないと税務署に指摘されるが、多過ぎたら指摘してこないから自ら更生の請求をする(申告期限から1ヶ月以内)

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 仕事・勉強
感想投稿日 : 2021年2月5日
読了日 : 2021年2月5日
本棚登録日 : 2021年2月5日

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