言葉に対するイメージは、人によって、人生経験や性別によって、全然違ってくるでしょうね。この「年下」という言葉も、そういう意味で、ずいぶん、いろいろなニュアンスがあると思います。
私は男なので、年下、しかも恋愛ということに関して、あまり抵抗はないですね。むしろ自然というか、憧れの方が強いかもしれません。逆に女性からすると、「年下」は受け付けられんと、この本の実七子のように言う人もあるかもしれません。もちろんそんなの関係ない、あるいは年下の方がいいという人がいても構わないわけです。
この本では、女性が年下の男性と恋愛するのはちょっと、いろいろ抵抗があるというか大変だよね、という前提で話が進んできます。そして、もちろん年下の男性と恋愛が始まるわけです。主人公の女性を一人にしぼらなかったのも、テレビドラマによくある手法ですね。ストーリーの幅が広がって、読者が好きな人に感情移入しやすくなるのでよいと思いました。
紆余曲折があります。ありがちと言えばありがちですが、だからこそ共感できる人も多いのではないでしょうか。私の場合、残念ながらそういう経験はありませんが、なるほどなあと思いながら読み進めました。
実際には、ここまで年の差を意識しながら恋愛が進んでいくということがあるのでしょうか。始まる前ならいざ知らず、ひとたび恋愛の世界に入り込んでしまえば、年齢のことなんてあまり気にならなくなるのではないかなあ。逆に言えば、年のことが気になり始めると、それは恋愛の終わりが近づいたのかも。
ま、そこのところはお話なので、少し誇張して書かれていると思って呼んだ方がいいでしょう。
最後のところで、実七子が「年下恋愛の可能性が見つかったってことは、あたしたちが年をとればとるほど、恋のターゲットが増えていく、ってことなのよ」と言うシーンがあります。こうやって、ポジティブに価値観を変えていくのが素敵ですね。なかなか、簡単そうで、こうはうまくはいかないものですが、読み終えて、すがすがしさが残りました。
- 感想投稿日 : 2018年1月27日
- 読了日 : 2008年10月1日
- 本棚登録日 : 2018年1月27日
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