既に伊吹有喜さん、6冊目。時代を越えて真っ赤なショールを巡る成長譚。イジメに会い高校に行けなくなった美緒、言いたいことを言えない苦悩。それには両親や祖母とぶつかり合わずに生きてきた。即ち、逃げてきた。ただ、祖父の紘治郎との出会い。この出会いによって美緒と家族は再生する、羊毛を通じて。美緒の周りは厳しいがとても暖かい。赤いショールの温かさ、人の温かさ、羊毛の温かさ、すべてが繋がっている。たとえ切れても継ぎ足せばよい。元に戻るのだ。失敗しても全く構わない。美緒は紡ぎながらどこまでもどこまでも行けるはず。⑤
直木賞選評 https://prizesworld.com/naoki/senpyo/senpyo163.htm 「万人に勧められるその親しみやすさと明るさが、今回は同じような題材の『銀花の蔵』と並んだとき、人物造形の頼りなさ、作中で提起された母娘や夫婦の葛藤の解決の甘さに換算し直されてしまいました。」BY 宮部みゆき。
母娘の葛藤の解決がなされていない。。。確かに。でもそこにこそ成長の可能性を換算することができると思いたい。
読書状況:読み終わった
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カテゴリ:
優しい、ホンワカ
- 感想投稿日 : 2022年3月21日
- 読了日 : 2022年3月21日
- 本棚登録日 : 2022年3月21日
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