宮澤賢治作品を教科書以外でマトモに読んだことがなかったので、1回ちゃんと読んでおこうと思い手に取る。「銀河鉄道の夜」「セロ弾きのゴーシュ」といった有名作品を読むことができてまずは良かったと思う。内容は不思議な感じで、寓話的といえば寓話的だが、中身があるようなないような作品も多い。そんななかで、個人的に気に入ったのは「セロ弾きのゴーシュ」。細かい作品解説は専門家に譲るとして、ただただ物語として好きになった。基本的にネガティヴな感じがしないのも良い。主人公のオーケストラにおける従来の立場とか、動物たちへの態度とか、そういう部分はけっして好感触一辺倒ではないのだけれど、読み終えたらなんともいえない幸せな気分になれる。「銀河鉄道の夜」などと比べて、わかりやすいのも良いのかもしれない。作者の人格まで伝わってくるような感じもした。全体的にみればどうかと思う部分もないわけではないけれど、やっぱり各篇が慈愛というかなんというか、著者の独特の眼差しで溢れていて、やっぱり童話作家としては一流なのだと思う。
読書状況:読み終わった
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- 感想投稿日 : 2014年8月11日
- 読了日 : 2014年8月10日
- 本棚登録日 : 2014年8月11日
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