宮沢賢治全集 (7) (ちくま文庫 み 1-7)

著者 :
  • 筑摩書房 (1985年12月1日発売)
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本棚登録 : 424
感想 : 26
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宮澤賢治作品を教科書以外でマトモに読んだことがなかったので、1回ちゃんと読んでおこうと思い手に取る。「銀河鉄道の夜」「セロ弾きのゴーシュ」といった有名作品を読むことができてまずは良かったと思う。内容は不思議な感じで、寓話的といえば寓話的だが、中身があるようなないような作品も多い。そんななかで、個人的に気に入ったのは「セロ弾きのゴーシュ」。細かい作品解説は専門家に譲るとして、ただただ物語として好きになった。基本的にネガティヴな感じがしないのも良い。主人公のオーケストラにおける従来の立場とか、動物たちへの態度とか、そういう部分はけっして好感触一辺倒ではないのだけれど、読み終えたらなんともいえない幸せな気分になれる。「銀河鉄道の夜」などと比べて、わかりやすいのも良いのかもしれない。作者の人格まで伝わってくるような感じもした。全体的にみればどうかと思う部分もないわけではないけれど、やっぱり各篇が慈愛というかなんというか、著者の独特の眼差しで溢れていて、やっぱり童話作家としては一流なのだと思う。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 未設定
感想投稿日 : 2014年8月11日
読了日 : 2014年8月10日
本棚登録日 : 2014年8月11日

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