ザ・フィフティーズ1: 1950年代アメリカの光と影 (ちくま文庫 は 46-1)

  • 筑摩書房 (2015年8月6日発売)
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感想 : 6
5

何故、アメリカの50年代を知らなくてはならないのか?
それは50年代がアメリカのスタンダードとされてきたからだ。
80年代に登場したレーガン大統領のモットーは、アメリカを50年代に戻そう、ということだったらしい。
因みに、トランプがMake America great againを掲げているが、彼に言わせると、その原点は80年代のアメリカらしい。
要すれば、やはり今でも50年代のアメリカが一部の勢力からは『良き時代』に映っているのだろう。
50年代は第二次世界大戦が終わり、アメリカが世界で唯一の大国としてこの世を謳歌していた時期でもある。
その中でTVの登場と共に消費文化が生まれ、価値観の多様化の萌芽が生まれてきた。
(反動の時代でもある60年代への準備期間とも定義付けることができる)

現在のアメリカを見ると、必ずしも50年代に回帰するような社会であるとは言えず、マイノリティがマイノリティではなくなり、女性が大統領になる時代でもある。
そのせめぎ合いが、今年の大統領選での主張のぶつかり合いにも反映されている訳で、昨今の政治状況を理解する上でも50年代の理解が必要になるとの帰結。

本著では政治、社会、経済、エンターテイメントと幅広くテーマを採り上げながらも、時代を象徴する人物、事象を的確に選び、評価している。その意味でもアメリカを知るための一冊として特筆できる。
全三巻なので次巻も楽しみだ。

多くの興味をそそる人物が登場しているので、別途、それら人物に関する書籍も読んでみたい。

ロバート・オッペンハイマー
フォン・ノイマン
エリア・カザン
テネシー・ウィリアムズ
アレン・ギンズバーグ
アルフレッド・キンゼイ
ジャック・ケルアック

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: アメリカ
感想投稿日 : 2016年5月23日
読了日 : 2016年5月23日
本棚登録日 : 2016年5月23日

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