ベスト&ブライテスト (下巻) (Nigensha Simultaneous World Issues)

  • 二玄社 (2009年12月1日発売)
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感想 : 14
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シリーズ最終巻。
テーマはジョンソン大統領政権時のベトナム戦争泥沼化。
表題の通り、ケネディ政権から類稀なる最高の人材を引き継いだにも係わらず、なぜベトナム戦争の泥沼化を食い止めることができなかったのか。
幾つかの要因があるのだが、エリートにとって失敗の文字はない、というマインドが主因なのだろう。
ジョンソンは、明らかに国内政策でリーダーシップを発揮したかった、外交政策は二の次だった。
情報を限定的に扱い、オープンにすることを嫌った。
Yes manを重用した結果、悪い情報が上がらなくなった。
迷いの中から、決定を先送りする傾向があった。

以下引用~
・彼らのプラグマティズムは、幾度も道義的価値と対立した。そして犠牲にされたのは道義の方である。しかし、それも、より大きな成功を収め、より大きな善を為すために必要なことなのであった。アメリカ的信条の権化が彼らである。
つねに社会の階梯を昇り、成功がすべてを正当化する。他のことはいっさい考えず、日に夜をついで働き、その働きを認められて成功する。成功は、どんな犠牲を払っての達成するだけの価値がある。アメリカ的生活にあって、成功はすべてであった。だがやがて、そのために払われる代価は恐るべきものとなる。

・フランスにとっても、アメリカにとっても、この戦争の偉大な幻想の一つは、自分たちが戦争の規模や進展を左右している、という考えであった。現実には、それを左右していたのは敵であった。敵は、一時的にどの程度の兵を投入するかを決定することにより、戦争規模を拡大したり、縮小したりする決定権を握っていたのである。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: アメリカ
感想投稿日 : 2017年6月28日
読了日 : 2017年6月28日
本棚登録日 : 2017年6月28日

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