「流域地図」の作り方: 川から地球を考える (ちくまプリマー新書 205)

著者 :
  • 筑摩書房 (2013年11月5日発売)
3.80
  • (9)
  • (23)
  • (17)
  • (1)
  • (0)
本棚登録 : 256
感想 : 27
3

【由来】
・図書館の新書アラートとhonz

【期待したもの】
・漂着プロジェクト

【要約】
・流域地図というのは河川を中心に区分けをした地図のこと。産業革命以降、デカルト座標の地図で構成され、行政区画割の地図に慣れすぎてしまった我々の感覚は、そのまま「大地」「地球」に住んでいるという実感からの乖離につながっている。現行地図を否定はしないが、流域地図も併用し、そこを実際に歩いて自然を体験することによって、自然との関係を再構築できる。

【ノート】
・流域地図とは河川を中心に区分けをした地図のこと。水系が分かり、つまり土地や生物の生息状況と結びついた地図。Yahooでも背景図として水系図を選択できるようになっているが、まだまだ馴染みがない概念ではある。

・知り合いの研究者から、今、我々が馴染んで使っている地図は、たくさんある地図概念の一つでしかないということを教えられたことがあった。これは哲学的な意味からも歴史的な意味からもそうなので、例えば曼荼羅も地図の一つ。何をどう認識して表現、マッピングするかというのが地図の本質であり、今、我々が地図帳やGoogleマップなどで慣れている地図というのは、あくまでも特定の科学的コンセプトに基づいて構築された世界観に過ぎない。子どもが適当に書いて見せる居住区近辺の地図を、我々は縮尺も方角もでたらめだと言って笑うけど、書いた子の興味や行動規範を出発点にすれば、それは立派な地図なのである。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 本・雑誌
感想投稿日 : 2018年10月28日
読了日 : 2014年1月24日
本棚登録日 : 2018年10月28日

みんなの感想をみる

コメント 0件

ツイートする