東電福島原発事故 総理大臣として考えたこと (幻冬舎新書 か 16-1)

著者 :
  • 幻冬舎 (2012年10月26日発売)
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感想 : 43
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 未曾有の国難に直面した時に一国のリーダーとしてどうすべきか。ということで今回の新型コロナ騒ぎにあたっての安倍政権の対応と、東日本大震災時の菅政権のそれとの比較が最近よく語られている。そのために読んだのではなくてたまたま手に取ったのは偶然なのだが、それにしてもやはりいろいろ考えさせられる。国難と一口にはいっても両者はまったく異質なので同日には論じられないのはもちろんだが、それにしてもだ。現場に近づくことができないまま時々刻々と状況は変化し、常に最悪の事態に向き合いながら手探りで対処しなければならなかった原発事故のときは、菅首相は官邸に泊まりこみだったし、枝野官房長官は記者会見に出ずっぱりだった。もちろん本書は元首相側からみた一面に過ぎないし、客観的にどうだったのかは疑問な部分もあるが、間一髪の危機を免れたのは本当に運がよかった、運に恵まれたという述懐には正直な真情がこもっている。緊迫度が違うとはいえ現政権の緊張感に乏しい対応をみていると、あのときがこの政権でなくてよかったなとつくづく思う。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 新書
感想投稿日 : 2020年5月8日
読了日 : 2020年4月14日
本棚登録日 : 2020年5月8日

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