全編が探偵術通信講座の生徒モーランと自称主任警部の通信学校教師との手紙のやりとりからなる連作ユーモア短編。モーランが実地に探偵のまねごとをして事件を紛糾させたり解決したりのありさまを報告するのに対し、主任警部が指示を出したりあきれたりの繰り返し。まずはモーランのまじめに探偵術に取り組んでいるつもりで的外れな所業の数々がおかしい。それでも怪我の功名が続いて次々に事件を解決していくにつれ、主任警部の応対が微妙に変化してきて、最後は一転貫禄勝ちをおさめたところで幕となる。なかなかうまい。しかし、スペルミスを連発して主任警部に辞書を引きなさいと再三注意されるモーランの「論理する」とか「豪花な」とかの誤用語など、訳出のうまさにはうならされる。
読書状況:読み終わった
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カテゴリ:
海外ミステリ
- 感想投稿日 : 2016年2月14日
- 読了日 : 2016年2月10日
- 本棚登録日 : 2016年2月14日
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