久々に買った堀先生の地図エッセイ本。エッセイストクラブ賞の「地図のたのしみ」以来、個人的におつきあいいただいたこともあり、たくさん地図や鉄道に関する本を読ませていただいている。本書は札幌の歴史を旧町村、鉄軌道、道路水運等の項目別に新旧の地図をふんだんに使って俯瞰したもの。大著ではあるがかなりの部分が地図図幅なので読むところはそれほど多くない。札幌に生まれ育った生粋の札幌っ子としてはふむふむなるほどと興趣をそそられることばかりではあるが、いかんせん系統だっていないし取り上げる内容に著者の主観が色濃く反映されているので、読んでいて満腹感はいまひとつ。それはともかく収載されている地図が判型の制約で範囲が限られ、しかも地図ごとに0.81倍とか1.06倍とかまちまちに拡大縮小されているうえに横向き配置のものもあったりして見にくいことはなはだしい。地元の出版社でレイアウトにも著者の意向が通りやすそうに思えるのに、地図をこよなく愛する堀先生らしからぬ体裁が不思議でならない。地図好きならせっかく収載されている貴重な古地図の範囲外部分もぜひ見たいと思うに違いない。大判の本とするかあるいは地図だけ分冊にするとかできなかったのだろうか。価格とか営業上の問題があったのかな。貴重な資料だけに惜しい。
読書状況:読み終わった
公開設定:公開
カテゴリ:
ノンフィクション
- 感想投稿日 : 2015年2月11日
- 読了日 : 2015年2月8日
- 本棚登録日 : 2015年2月11日
みんなの感想をみる