時にはうどんのように (文春文庫 し 9-12)

著者 :
  • 文藝春秋 (1998年8月1日発売)
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感想 : 11
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赤マントシリーズ単行本第6弾。週刊文春1994年9月29日号~1995年7月13日号掲載分が収録されている。おそらく自分が赤マントシリーズの単行本をリアルタイムで買っていはのはここまで。いろいろ忙しくなったり、何かがあったりで途絶えてしまったのだろう。ざっと当時のニュースを見てみると、ナリタブライアンが菊花賞を勝ち、シンボリルドルフ以来10年ぶり、日本競馬史上5頭めの三冠馬に。 大江健三郎がノーベル文学賞受賞。「兵庫県南部地震(阪神・淡路大震災)」が発生。オウム真理教によって地下鉄サリン事件発生。13人が死亡、5,510人が重軽傷。など。震災とオウム事件が立て続けにあって世の中がザワザワしていた頃だったんだなあ。。テレビのワイドショーで椎名氏の友人である木村弁護士がオウム幹部を相手に堂々と張り合っていた場面は鮮明に覚えている。実に格好良かった。個人的には『傲慢なる饒舌』の巻が興味深かった。テレビにたずさわる当事者の傲慢さに嫌になったという話。最近はネットが普及してきてテレビ・新聞など既存メディアの力が徐々に落ち、やらせ・報道しない自由・MAD編集・偏向報道・ステマ等がすぐにバレてしまうのはとてもよい傾向だと思う。しかし、当時はテレビがメディアの中で最強最大だったからテレビ局関係者の傲慢さがかなり酷かった実態がよくわかった。阪神・淡路大震災のいやがる被災者に無理やりインタビューしたり、哀れさを増すように老人にわざと重いものを持たせるなどの「やらせ」は、311のときにも似たような報道があったよなあ、と怒りがふつふと湧いてくるのであった。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: エッセイ
感想投稿日 : 2014年6月15日
読了日 : 2014年6月15日
本棚登録日 : 2014年6月15日

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