仰臥漫録 (岩波文庫 緑 13-5)

著者 :
  • 岩波書店 (1983年11月16日発売)
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本棚登録 : 422
感想 : 42
5

 正岡子規が、死の直前まで書き綴った日記。

 元来、人の日記を読むのがすきなせいもあり、夏目漱石(の日記)つながりで手にとったものなのだけど、ここまで気に入りの一冊となったのは、やはり生きること=食べること、への執着が赤裸々に綴られているからなのだと思う。
 もちろん、綴られている俳句や、日々の徒然にも生への執着、もっと言えばゴールの見えてきた人生ゲーム(しかも一発逆転ホームランの存在しない)で、一体なにをし、なにが出来るのかということを考えさせられるのだけど―――。
 けれどやはり、その人間の本質がもっともよく現れるのは、食欲・性欲・睡眠欲であると思っている次第なので。
 自分は死の直前にあっても、これだけ「おいしいものを食べる」ことに執着し続けることができるかどうか、というのは人生の課題のひとつでもある。

 そして生徒達(小学生)にも、
「テレビの「坂の上の雲」のハゲのおっさん」
「野球という言葉を発明したひと」
「たる柿26個を胃弱の「我輩は猫である」の人(夏目漱石)の前でたいらげて、漱石をへきえきさせたひと」
「法隆寺のひと」
で、いいから、どうか覚えていて、いつかこの本を手にとってくれるといいなあ、と!

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: あの世に持参する
感想投稿日 : 2011年8月20日
読了日 : 2011年8月20日
本棚登録日 : 2011年8月20日

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