紙屋ふじさき記念館 結のアルバム (角川文庫)

  • KADOKAWA (2022年11月22日発売)
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感想 : 35
4

シリーズ6作目。

記念館閉館イベントが、コロナの影響で中止になり百花は慣れないリモート環境下で卒論と就活に取り組むことに。

第一話 手漉き和紙見本帳

就活に苦戦していた百花の元へ和紙見本帳が届き、改めて伝統を守るということの大切さに気づかされ、最終面接を乗り越えて内定をもらう。
ひたむきに頑張る素直な百花に拍手。

第二話 わたしたちの日常

コロナ禍で最も知りたいのは、みんなの動向。
みんな寂しくない?落ち込んでない?
誰かと少し喋るだけで頑張れるという気持ちが伝わってきた。
今は落ち着いているけど当初を思い出してしまった。


第三話 結のアルバム

卒論のテーマに惹かれた。
小川未明の絵本『赤い蝋燭と人魚』をあらためて読み直したいと思った。
そして、動揺も手がけていたことを知りこちらも興味を持った。
動揺に出てくる海はいつも不安に満ちている。「闇」「海と太陽」とても良い。

百花は、作ることが好きで好きで…卒論を先に進めないと、なのに結局合間合間に箱ものを作っている。
没頭しているうちに精度の高いものに仕上がり、満足いけば卒論にも集中できて予定通りに出来ている。

先生へのプレゼントも心のある素晴らしい水引きを使用したアルバムを渡すことができた。
先生曰く、「あらためて紙というものの偉大さを感じた」「紙にかかわる仕事をするということは、その歴史を背負うこと、過去を背負い、先に進む。
生きるとはそういうこと」
とても深い。


止まっていた時間があったとしても、きっといつか大きく…もっと大きくなって動きだす。そんな希望が見えてきた。

ラストにまだ続きそうな予感⁇が。





読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 未設定
感想投稿日 : 2023年3月9日
読了日 : 2023年3月9日
本棚登録日 : 2023年3月9日

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