ハナは、兵庫三田の山奥から牛より安い値段で花街に売られてきた少女。
山口の家族を支えるために神戸に出てきた利一とは、ドブに足を踏み込んでいたのを助けたことがきっかけで知り合う。
これは、東洋の化粧品王・中山太一をモデルにした一代記である。
真面目で探究心旺盛な利一が、次々と商売をやり成功していくのだが、「思い立ったが吉日」「毎日が吉日…。ないものを知るのが商機…!」と行動力も凄い。
一時の流行で終わるような商品を作りたくはない。という気持ちもあり、常に考えて知ってもらうための広告力も必要と視野も広い。
紆余曲折もありながら、大ヒット商品誕生へと繋がっていくのだが、決してハナを忘れたことはなかった。
だが、想像していた幸せがずっと続くことはなく…
いろんな状況を経て、年老いて懐かしき神戸の地で再会した2人。
「ああ、ほんまに毎日が吉日やねえ」
顔を合わせてこのことばを言う。
これ以上に何を望むだろう…というのが感じられる。
明治から大正、昭和にかけて戦争を体験しながらのこのことばに何とも言えない気持ちが込められている。
読書状況:読み終わった
公開設定:公開
カテゴリ:
未設定
- 感想投稿日 : 2022年10月14日
- 読了日 : 2022年10月14日
- 本棚登録日 : 2022年10月14日
みんなの感想をみる