SF小説でありながら奥深い心理的な要素を含んでいて、なおかつとてもエキサイティングだった。
第一部には、年齢、性別、職業、階級、社会・文化的背景などを異にする多様な、けれどもある意味代表的な人物が登場し、それぞれの生活の様子を紡ぐ。
第二部では、飛行機で起こる異常が明らかになり、それに対応する政府の狂騒。
第三部では、異常に巻き込まれた一人一人の選択。
自分が、その一人になった時どうするのか?
重複者〈ダブル〉を目の前にした時、何が言えるのか?
考えてみただけでも恐怖だ。
この中に、「パンドラの箱のなかにとどまった悪は、希望だ。」とあった。
もっとも始末の悪いもの。
希望が、わたしたちに行動を起こすことを禁じ、希望が、人間の不幸をも長引かせる。
なんとかなるさ=あらざるべきこと、起こり得ずの論法に頼るかもしれないと思った。
そして、その状況にあらがうことなく折り合いをつけていくのかもしれない。
読書状況:読み終わった
公開設定:公開
カテゴリ:
未設定
- 感想投稿日 : 2022年3月8日
- 読了日 : 2022年3月8日
- 本棚登録日 : 2022年3月8日
みんなの感想をみる