椿ノ恋文

著者 :
  • 幻冬舎 (2023年11月1日発売)
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感想 : 251
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大好きな「ツバキ文具店」のシリーズ最新刊!

店主・鳩子さんもQPちゃんに続き、次女に長男と3人の母親となり、下の子が小学校に入学したのを機に代書屋を再開。

懐かしい面々の状況も思い浮かべながら、今回も難しい代書に挑む鳩子さんに流石だなと思わされた。

義理のお母さんの髪の毛が入った料理にどう言うべきか、言わない方がいいのか、悩んだ舞ちゃんに愛情のある手紙を。

病気の後遺症で右手がうまく使えない女性に左手で書いた嫁ぐ娘への想い。

老齢の夫へ事故を心配し、免許返納をお願いするために出した手紙は、意思の強さが流れるような美しい文字に現れていた。

そのほかにもたくさんの依頼があったけれど、ここではやはり先代の恋文を見つけたことが、鳩子の心情を揺さぶり、ちょうど反抗期を迎えていたQPちゃんを誘い伊豆大島へ行ったことが大きなことだったように思う。
先代の揺るぎのない真っ直ぐな愛情に溢れる文に孫の立場としては、どうなんだろうと思わなくもなかったが…。

QPちゃんの鳩子への思いも手紙によってわかるのだが、これは涙腺緩む緩む…。
素直に謝り、大好きな思い出の場所である波治加麻神社で、「失くしたものを追い求めるより、今、手のひらにあるものを大事にしたらいいんだ」とミツローさんが言った言葉に救われたと話しながら QPちゃんをおんぶした鳩子さんは、とても素敵だった。



手紙は、素直な気持ちを文字に記して紙に残すことで、じんわりと相手の心に伝わるものなんだと感じた。


鎌倉駅周辺をゆっくり歩いてみたい。
そして、伊豆大島の椿も見てみたいなと思った。



読書状況:読み終わった 公開設定:公開
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感想投稿日 : 2024年1月9日
読了日 : 2024年1月9日
本棚登録日 : 2024年1月9日

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