『デビルマン』時代の永井豪の作画は、現在よりも荒削りだったかも知れないが、異様な力があった。『デビルマン』にもいくつか忘れがたい「絵」がある。漫画なのだから「絵」なのだが、まるで芸術絵画のような力を持ったコマがいくつもあるのだ。
第2巻はシレーヌ編の途中からだが、シレーヌ編であれば、左腕をもがれ、腹から血を流しながら立つデビルマンの姿(『マジンガーZ』にも似たような場面があったが)。立ち往生するシレーヌはいささか理念先行かも知れない。1巻なら、不動明がデビルマンになる場面の時間が止まったような迫力。さらに忘れられないのは、3巻となるが喰った人間の顔をあたかも人質として甲羅に宿すジンメンを、人面もろとも一撃で打ち抜く場面。もちろん、少年だった私にトラウマを与えたのは、最後の「ねむったんだね……明」のカットであったが。
この2巻にはあとから書かれた『新デビルマン』がかなり挿入されているが、技術は上がったかも知れないが、画力の勢いは消えたということが、痛々しいほど明瞭である。『デビルマン』時代の永井豪には、やはり悪魔が取り憑いていたといわねばなるまい。
読書状況:読み終わった
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カテゴリ:
デビルマン
- 感想投稿日 : 2016年2月4日
- 読了日 : 2016年2月4日
- 本棚登録日 : 2016年2月4日
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