殺人犯はそこにいる―隠蔽された北関東連続幼女誘拐殺人事件―(新潮文庫)

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  • 新潮社 (2016年6月1日発売)
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感想 : 47
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凄い内容。清水氏のことは桶川ストーカー事件の頃から知っていたけれども、凄い取材内容だった。

一つ、最初に書いておきたい。女性検事と女性技師のこと。なぜ、わざわざ女性とかいたのだろう。男性については性別を言及していない。女性だけ、なぜ書いた?そこがすごく気になった。

この事件については、連載を読んでいたし知っているつもりだったけれど、一番の疑問は、清水氏が初期から掴んでいたルパンの存在。なぜ警察はスルーしたのだろう。また、ルパンは横山ゆかりちゃんのあと、犯罪を犯していないのだろうか。
そもそも、別件であげることはできないのだろうか。ロリコンなんて釣り上げるの簡単だと思うのだけれど。

飯塚事件、私もDNAはともかく真犯人と思っていたから、最後の章は衝撃だった。じゃあ、犯人はどこにいるのか。
真犯人は、少女2人を惨殺した挙句、彼を身代わりにして殺したわけだ。どういう心境で今、空気を吸っているのだろうか。

もし東日本大震災がなければ、再捜査は可能だったのだろうか。でも飯塚事件で死刑施行の後では無理なようにも思う。

死刑制度には賛成だけれども、飯塚事件などがあると揺らぐ。

マスコミに対する(自己)批判も含めて耳が痛い。

清水氏が日本テレビに引き抜かれたとき、正直、がっかりした。大手かよ!て落胆した。フォーカスの清水氏が好きだったから。
でも、日本テレビの財力がないと、この事件の捜査は無理だったと思う。どう着地すればいいかわからないまま走り出した取材陣を支え続けた日本テレビの幹部のみなさんを尊敬する。

そして何よりも清水氏。ジャーナリストの希望。最後の良心。

ルパン、天寿を全うする前に、最後に自白しようよ。今、コロナ禍で1人で家に閉じこもっているんでしょう?自分の人生を振り返ってどうよ?最後に「善」をしてみようとは思わないのだろうか。
この事件を解決し、遺族が少しでも慰められ、横山ゆかりちゃんの遺体が見つかるためには、ルパンの自白しかないと思う。でないとDNA型検査が障害となってしまう…

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: ノンフィクション
感想投稿日 : 2021年5月1日
読了日 : 2021年5月1日
本棚登録日 : 2021年5月1日

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