仏典のことば: 現代に呼びかける智慧 (岩波現代文庫 学術 124)

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  • 岩波書店 (2004年6月16日発売)
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・生・老・病・死を根本的な苦とし、それを克服するために、恵まれた立場を捨てたゴータマ・ブッダ。ブッダが到達した境地には至らないまでも、その教えを知ることによって、私たちの生は、より輝くと思います。

「永い年月にわたって仏教の研究に打ち込んできた人間として、なにか後世に言いのこしたことがありはしないか、」と問われたからでしょうか、常に仏典について客観的な分析をされてこられた中村元先生らしくないと思うほど、ご自身のお考えを明確に述べていらっしゃいます。

 もちろんそれは、研究成果について自説を語るということではなく、仏教の教えを、現代社会が抱える問題を解決するために活かすとしたら、という視点です。誰もが、いずれは自分も死ぬのだと事実を直視した時に、慈悲の心が芽生え争いがなくなるのではないか、という期待です。

 私たちは、生老病死から目を背けるために、人生を豊かにしようとあくせくするわけですが、欲は満たそうとすればするほど、新たな苦となって覆いかぶさってくるもののようです。では、どうすれば良いのでしょうか?それは、いったん事実をありのままに受け止め、焦ることなく丁寧に善を積むことで対処することなのではないでしょうか?

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 人文科学(心理学・哲学・思想)
感想投稿日 : 2020年4月29日
読了日 : 2019年3月10日
本棚登録日 : 2020年4月29日

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