水滸伝 12 炳乎の章 (集英社文庫 き 3-55)

著者 :
  • 集英社 (2007年9月20日発売)
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本棚登録 : 1461
感想 : 95
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晁蓋という梁山泊のひとつの支えを失ってしまってからのお話。
私は、晁蓋が死んでしまって、かなりショックを受けてなかなかこの巻を読み始めることができていなかったのですが、この巻を読み始めると、皆が己の悲しみややるせなさ不安と闘いながら、それぞれの役割を果たそうと必死に過ごしていて、その姿に読んでいるこちらが元気づけられました。

そして、頭領が宋江一人になってしまった梁山泊は、盧俊義の捕縛という大きな危機に見舞われるのですが、ここで活躍するのが燕青です。盧俊義の従者としてずっと傍にいた燕青。二人の関係性、過去が明らかになり、燕青の盧俊義への並々ならぬ想いが盧俊義を救出することになるのですが、この時の燕青はすごくかっこいいです。今まで燕青は、いまいち人物が掴めないような感じだったのですが、こういう形で燕青を知ることになるとは、と驚愕しました。と、同時に燕青がかっこよすぎて好きになりました。これで美青年っていう設定はずるい!です。女の子の読者は好きになっちゃうんじゃないかな、と思いました。
燕青自身の話だけではなく、周囲の人々の燕青に対する気持ち、評価みたいなものがちょこちょこ出てくるのも、良かったです。盧俊義を通しての燕青ではなく、燕青自身が梁山泊メンバーと近づいている気がして、うんうんとなりました。

最後の、韓滔の死に胸を痛めている呼延灼将軍の姿は辛かったです。普段強くて厳しい人も、大切な人の死にはもろくなってしまうんだな、と。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 一般小説/ラノベ
感想投稿日 : 2013年7月29日
読了日 : 2013年7月28日
本棚登録日 : 2013年7月23日

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