立法分権のすすめ ―地域の実情に即した課題解決へ

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  • ぎょうせい (2021年9月17日発売)
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著者は、分権改革から20年、地方分権が遅々として進まないのは、個別法の「過密・過剰」にあると指摘する。
行政分権が進んでも、法律、政省令で雁字搦めにされていては、地域、市民のニーズに即応する行政は執行できない。さらに地方分権を進めるためには立法分権が必要であると著者は主張する。
確かに現在の法令の規律密度の高さは、主管官庁、都道府県の主管課、市町村の主管課と言う行政の立ての流れを維持する役割を果たしていると思われる。
この立ての流れを断ち切るためにも立法分権が必要であると思う。
著者も言うとおり、自治体を半人前扱いする後見的な法規は早急に廃止すべきである。
分権を阻害する要因として、権限に固執する官僚の意識を指摘する一方で、規律密度の高さを口実に自己責任による行政を執行しようとしない自治体側の態度も問題としている。
また、市民やマスコミが自治体に問題が起こる度に国の管理責任を追求することも国が規律密度を上げる要因になっているとしている。
著者は長年、自治体職員の政策法務能力の向上に努めており、立法分権を進めるためにも、今後の活動に期待する。

読書状況:積読 公開設定:公開
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感想投稿日 : 2021年10月7日
本棚登録日 : 2021年10月5日

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