漱石と三人の読者 (講談社現代新書)

著者 :
  • 講談社 (2004年10月19日発売)
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本棚登録 : 161
感想 : 17
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「三人にだけ伝わればいい」――。新聞小説家・夏目漱石が、小説を核に際して意識した読者像に焦点を当てながら、初期三部作・後期三部作、未完の『明暗』までを辿る。巻末に全小説のあらすじを掲載。
第一章・二章では漱石の読まれ方及び当時の「小説」の扱われ方を概観、漱石が常に「書くこと」に対して意識的だたことを見。三章以降は、漱石の作品を通じて誰が「読者」として想定されていたのかを作品別に読み明かしていく。
『虞美人草』で想定していた反応と実際の読者の反応にずれがあったことを踏まえ、以降の小説に「死角」を入れるようになったという点が印象。また、後期三部作は新聞連載→単行本という発表方法をとっていたが、連載時と単行本の読者が別に想定されており、それぞれの読み手に対して物語が用意されていたのではないかという点が面白い。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 評論
感想投稿日 : 2013年8月25日
読了日 : 2013年8月25日
本棚登録日 : 2013年8月25日

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