自伝的エッセイ、と何処かに紹介されていた。
本当に「自伝」なんだろうか。
関連して、太宰治さんの「恥」を思い出した。
だらしない生活を送っている主人公をよく書く「私小説家」を訪ねていく、ファンの女性の話である。
訪ねてみれぼ、シュッとした作家先生が出てくるという。
私小説。考えてみれば、他の小説とどう違うのか分からないもの。文章にした瞬間、多分それは現実と同一ということはありえないし、どのような虚構を描こうと、そこに作者が存在しないことはない。
全てグラデーションでしかない、はずだと思う。
しかし、この本に書かれている内容は、吉村萬壱さんの作品のどこかで見かけた登場人物に見えることは間違いなく、あるいは、それらには吉村萬壱さんが投影されているのだろう、とも思う。
だとすればまさか、とは思ったがすごい逸脱の仕方だとは思う。
無茶苦茶な「小説」と、超常識的な「エッセイ」を著す方。本当は常識すぎるほど常識人なのでは、という印象を持っていたが、それはそれで勝手な思い込みなのかもしれない、と感じた。
読書状況:読み終わった
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- 感想投稿日 : 2021年12月24日
- 読了日 : 2021年12月24日
- 本棚登録日 : 2021年12月24日
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