生まれが9割の世界をどう生きるか 遺伝と環境による不平等な現実を生き抜く処方箋 (SB新書)

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  • SBクリエイティブ (2022年9月6日発売)
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感想 : 25
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遺伝と環境と偶然の産物。それらの堆積物が人というもの。
極端に言えば、自由や意思などどこにもない。
そんな論考に、そのとおりだよなあ。
と思っていて…
でも、その遺伝、環境、偶然ってどう違うんだろう。
選べないという意味では、主体・自分にとっては、全て同じ。
全ては偶々。
と言っているに等しいようにも思う。

この本では著者は、
遺伝と言っても、それは親から子に引き継がれるもの、という意味あいより、たんに偶然に配られる生命の設計図であること。
共有、非共有環境と言っても、それは、受け止める主体の、生命の受け止め方でしかなく、特定の事実そのものとは違った、体験、感想・感覚を指すものであること。
を主張しているように受け止めた。

「環境というのは膨大な要因で構成されており、一つ一つの要因の効果量は極めて微小、なおかつしばしば遺伝的素質と複雑な交互作用をしているということです。誰にとっても同様に作用する、単純な環境というものは存在しません。あらゆる形質は、遺伝と環境が複雑に作用して形成されているのです。」(p60)

偶然に支配される、不平等な世界。
それは所与のもの。

そう認識した上で、雑に「賢い」「有能」などと、強く結び付けられて評価されがちな、社会的評価をどう受け止めるか。自らのこれからをどう考えるか。社会的な生き物である人間に生まれた以上、他者、社会からは逃れることはできない。

もっと考えてみようかと思った。

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感想投稿日 : 2023年9月1日
読了日 : 2023年8月31日
本棚登録日 : 2023年8月31日

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