真説・佐山サトル タイガーマスクと呼ばれた男 (集英社文庫)

著者 :
  • 集英社 (2021年4月20日発売)
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感想 : 9
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物事には「〇〇以前・〇〇以後」という境目を作った出来事や人がいると思う。そのジャンルの空気や流れや常識を明らかに変えた人。

野球で言えば、日本人のメジャー挑戦を身近なものにした野茂英雄以前と以後。
お笑いで言うとダウンタウン。それ以前と以後でこれ程景色の変わったジャンルも無いかも知れない。

プロレス・総合格闘技で言うと、これは間違いなく
佐山サトル。
佐山の前に佐山無く、佐山の後にも佐山は出ないだろう。

UFCが興る10年も前の80年代半ばにして既に「立って打撃、投げてからの寝て関節技」の提唱をしたのは天才以外の何者でもない。
UFCでアマレス出身選手が猛威を奮っていた時代に
「いずれ打撃が強い選手の時代が来る」と予言していたように、先見の明にも優れていた…が。

凡人が想像もつかない行動や考えに出るからこそ天才。


それにしても佐山を取り巻く人々の反応
修斗に関わる人々がプロレス界のそれのように
したたかで老獪で狡猾で、言わば清濁併せ呑む事が出来たなら
修斗はもっと隆盛を誇れたのかも、と惜しむ思いがした。

プロレスも修斗も全てが佐山の中にあるもので
それこそ「なんでもあり~ヴァーリトゥード」だったんじゃないかと思える。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
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感想投稿日 : 2021年8月18日
読了日 : 2021年8月18日
本棚登録日 : 2021年8月5日

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