三毛猫ホームズの正誤表 (角川文庫)

著者 :
  • 角川書店 (2005年5月25日発売)
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感想 : 21
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片山晴美の旧友・野上恵利は新人女優。次の舞台の主役に抜擢され、晴美はお祝いの会を開いていた。その席で恵利は「私、殺されるかもしれない」と不吉な言葉を口にする。一方、恵利に主役の座を奪われたベテラン女優・丹羽しおりは傷ついた心を癒す為、グループカウンセリングを受ける。しかしそのグループの関係者に次々と事件が発生して・・・。三毛猫ホームズ第28弾。


三毛猫ホームズの正誤表
人は誰しも自分の中に人生の正誤表を持っている。夢や理想だけではなく、ささやかな日常にさえ、挫折や後悔、そして喪失はついて回る。自分自身が招いた失敗は勿論、何もしていないのに降りかかる理不尽なことも私達人間には数多くある。


その度に「あっちを選んでいれば・・・」「あんなことが起きなければ・・・」「あのひとがいなければ・・・」と思うわけで、長い人生を歩むとそれだけ正誤表の枠は増えていく。この正誤表に対して人間は様々な反応をする。例えば正誤表を書き変えようと苦心するもの、そんな姿を見て代わりに書き変えるあげようとするもの。しかしそれが人間にとって最善なんだろうか?


この正誤表が今回のホームズ物語の大テーマです。またこのテーマに大きな影響を与えるものがカウンセリングです。この精神への関与と正誤表が密接に絡まっていて、正誤表を書き変えることを臨んでいても果たしてそれが正しいのか?本当にその書き変えが自分の望んでいることなのか?を読者に語りかけます。この作品を読むと「正誤表に囚われない生き方をしよう!正誤表に誤が書き込まれてもうつむかない!」と思います。


しかし、いくら正誤表に囚われない生き方をするのも今回のようなケースになるとなかなか難しいと思います。特に登場人物の南原氏にはとても同情しますし、あれを受け入れて生きろなんて私にはすぐ言えません・・・。また私は一君の思考はとても理解できますw、そして一君と共に私もあの思考から脱したと思っています。


そして最後の疑問。あの父親の異常な執着は何だったのか・・・。


そこが分かりませんでした。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 未設定
感想投稿日 : 2012年10月21日
読了日 : 2011年12月14日
本棚登録日 : 2011年12月14日

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