資本主義と自由 (日経BPクラシックス)

  • 日経BP (2008年4月17日発売)
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シカゴ自由学派のフリードマンは、経済活動への政府の介入を最小限にとどめ、自由な経済活動を主張した、シカゴ経済学派の中心人物として高名です。
本書を読むと、個人的自由というものに対する透徹した考え方がひしひしと伝わってきます。例えば、次の一節。
「自由人は、国が自分に何をしてくれるのかを問わない。その代わり、自分の自由を守るために、政府という手段を使って何ができるか、を考える」

続けて彼は、こう言います。「権力はよからぬ意図を生みやすく、また磁石のように、悪しき意図を持つ輩を吸い寄せる」。フリードマンが、個人の自由意志に絶大な信頼を寄せていたことは、「偉大な業績を生み出したのは、個人の才能であり、大勢に逆らって貫き通された不屈の意志であり、そして個性や多様性に寛容な社会であった。」という表現からもよく分かります。

一方、企業の役割が株主価値の最大化以外にない、と言い切ってしまっていますが、今日企業に期待される経営におけるESGの重要性やSDGへの貢献への要求の高まりは、本書が執筆された1962年時点ではまだ予測不能な現象だったのでしょうか。

フリードマンの経済、政治の在り方に対する主張は、今日の米国のリバタリアニズムにも大きな影響を与えているような気がします。別の本の感想でも書きましたが、当人の孫がシーステッドという洋上自由都市を提唱しているというのは、一家に自由信奉の精神が脈々と受け継がれているからでしょう。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: ビジネス・経済・業界
感想投稿日 : 2020年1月12日
読了日 : 2020年1月12日
本棚登録日 : 2020年1月12日

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